続き ページ10
少しsgiz出てきます
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出会った時から、彼を一目見た時から、
「あぁ、この子だ」と思った。この子は俺のものにしなきゃ、誰にも取られないように、と。
山本には万人が認める可愛さがある、それ故に女子からモテるわけで。なんとか近付けまいと必死だった。外や体育館で活動なんかさせたらファンが増えてしまう、だからクイズ部に誘った。山本の靴箱に入っていたラブレターもバレンタインのチョコも全て捨てた、他の奴の愛情なんて受け取って欲しくなかった。
そして山本の前ではヘタレな先生を演じ、たまにギャップを見せるのだ。
変化が現れたのは最後のクイズ大会後。
落ち込んだ山本を励ましたあの日から、明らかに意識され始めた。やたらと好きなタイプや好きな料理を聞いてくるようなったり、すぐに目を逸らして頬を赤く染めるのだ。
俺は今すぐにでも腕に閉じ込めたい衝動を必死に抑え普段通り接した。まだだ、と自分に言い聞かせ仕上げの時を待った。
いや、1度だけ。
校内の見回りをしていた時に図書館で寝ている山本を見つけた時に。あまりにも寝顔が美しくて、周りに誰もいない事を確認して彼にそっと口付けた。
結局須貝先生に見られていたが。
あの人だって生徒会長の伊沢とあろう事か学校で色々してるんだから文句は言えないだろう。
卒業式の日、その時を待った。
彼の事だ、最後にケジメをつけないと気が済まない子だから告白してくるに違いない。
名簿に挟まれた紙には山本らしい几帳面な字で『卒業式後、部室で待ってます』と。
これで山本を手に入れられる、そう思うと笑いが止まらなかった。
この3年間の努力が報われるのだ。
さぁ、最後の仕上げをしようか。
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作者名:嘴広鸛 | 作成日時:2020年3月6日 15時