qkbl (ページ22)

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焦りはしたが、山本さんは割とすぐ目を覚ました。

「山本さん大丈夫ですか？！もう早く寝ましょ！」

『山本さん？それって私の事？』
「私って、山本さん、まさか、」
『なんだか随分顔が変わったね、兵士さん。』

俺の想像していた記憶の戻り方と全く違うんだが。

まさか彼女自身になるなんて。

それでも彼女に再会できたことが素直に嬉しい。

『そりゃ変わるよ、今は兵士じゃなくて渡辺航平だからね』
「それが貴方の名前なの？」
『俺たちは生まれ変わったんだよ、平和な世界に』
『君も山本祥彰っていう別の人にね』
『ちなみに男だけど。』
「なんだかよく分からないけど貴方がいるならそれでいい気がする」
『怖くないの？性別も見た目も環境も何もかも違うんだよ？』
「怖くないよ、だって貴方と一緒に月を見れるんだもん、こんな幸せなことないよ！」
『ちょうどいい、今日はスーパームーンだ』

『君の夢を叶えよう』

Do you ever hear me calling？

'Cause every night I'm talking to the moon

Still trying to get you

一緒に月を見ながら

会えなかった間のこと

この世界はとてつもなく広いこと

森だけじゃない

海や空のこと

そして月の後には太陽が昇ること

沢山語りあった僕達はいつの間にか寄り添って眠りについていた。

「愛してる」
『私も愛してる』

もう寂しい奴ではない、

愛おしいあなたが此処にいるから。

前世を信じるなんてイカれたやつかもしれない。

だけどあなたに会えたから。

君が返事をくれたから。

もう寂しい奴にはならない。