qkbl (ページ20)

今日:4 hit、昨日:11 hit、合計:83,548 hit

続きページ20

東京の空も意外と綺麗だ。

「うぅ～、さみっ」

12月になり寒さが増してくるが、それでも今日みたいな満月の綺麗な日は外に出て月を眺めている。
そして決まって『Talking To The Moon』を流すのだ。
まるで俺の心情をそのまま表したような曲。
どこかにいるかもしれない君へ捧げる曲。
でもどこにもいなくて、寂しい奴のまま大学2年になってしまった。

そういえば明日はQuizKnockの新しいライターさんと食事をするらしい。伊沢さんのスカウトでQuizKnockには珍しく早稲田生だそうだ。

友達になれるかな？なんて思いながら俺は部屋に入った。

『新しくライターをします、山本祥彰って言います！』
『東大生ばっかりだから不安だけど精一杯頑張るのでよろしくお願いします！』
“山本は漢字が得意なんだよな”
『一応漢検準1級です笑』
“へぇ～、すごいじゃん”
“特別漢字が得意な人っていないからいいんやない？”
『でも専攻は物理なんです笑』
“お？俺と一緒じゃん！”
“貴重な理系。”

この人だ。

性別も声も髪型も服も違うけど何処か面影はあって、

八重歯とか、

唇の上の黒子とか、

少し小さい背とか。

何より、

笑顔が彼女と全く一緒なんだ。

本能でこの人だと感じる。

“どうしたこうちゃん？”
“体調悪いんやったら先帰る？”

「、、、えっ？いや全然悪くないですよ！どうぞ続けてください！」

さて困った。会えたはいいものの気付かれてない。そもそも山本さんは前世の記憶なんて持っていないだろう。

今後のことで頭が一杯になっていると、本当に体調を疑われてしまい、戦線離脱を余儀なくされた。

やがて、山本さんはライターだけでなく動画にも出演するようになった。接点が多く歳も近いので仲良くなるのは当然で、親友と呼べるような関係になっていた。