今日の朝は昨日の夜明け【ars】【BL】 (ページ14)

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第13話ページ14

-松本side-

退屈な授業の途中。

翔くんに呼ばれた気がした。
反射的に椅子から立ち上がる。

「どうした、松本」
滝沢先生が、びっくりしたような声でこちらを見た。

「あ…えっと、なんでもないです…」

適当に返事をしてから、椅子に座りなおす。

翔くん…あれからどうなったのかな。
長瀬先輩が言うには…東山先輩が、何とかしてくれるって言ってたけど。

翔くん…先輩にはすごく律儀だからなあ…。
ちゃんと本心を言えるかどうかが心配になる。

「………んーん、なんでもない。じゃあね」

あの時の翔くんのことをふと思い出した。
声色、表情、すべてがくっきり明確に。

あの悲しそうな顔を。

思い出すと、俺まで悲しくなる。
守ってやれないのか、と。

何か出来ることは無いのか…、と。

結局俺は何をしてもダメなんだ。きっと。
好きな子ができても守ることも出来ず、それどころか声すらかけられず。

こんな俺………。

心の中でつぶやこうとした時、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

…いけない、ノート取ってなかった……。

黒板の字が消える前に写そうと、シャーペンを急いで持つ。

…昼休み、東山先輩のところに行こう。

このまま、何もしないままで終わっていいわけがなかった。