今日の朝は昨日の夜明け【ars】【BL】 (ページ11)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:11,172 hit

第10話ページ11

ｰ長瀬sideｰ

…櫻井は、俺にとって大事な後輩、………

…いや、……それ以上の、存在だった。

小学校、中学校、そして今＿＿。
何人ものの女の子達に告白された。

アイドル級に可愛い子、モデル並にスタイルのいい子…。

周りが羨ましがるような、そんな女の子達に。

…それでも俺の心はひとつも動かなかった。

…………むしろ、邪魔？

俺の眼中には櫻井という可愛い後輩しかいないんだ。

中学生になってから、

…この気持ちは【恋】なんじゃないかな、なんて。

思い始めたんだよね。

…でもさ、

男同志の恋なんて…有り得ないじゃん？

当時の俺からしては、奇妙にしか感じなかったわけ。冗談半分？的な。

…たださー。

「同性愛」って言葉知ってから、
…俺はそうなんだなって。

気づくまでに時間はかかんなかったんだよね。

まぁ、つまりは…

櫻井は、俺にとっての「初恋」なわけで…

俺は高校に入学する。

櫻井達は、丁度中学2年生だった。

あと2年…。

そう思うと長くて、

時々、こっそりと…覗きに行った。

櫻井が中3になった時…。

…いじめが起こってるのを、俺は目の当たりにしたんだ。

初めは軽いものだった。

消しゴムを盗んだり…、借りたものを返さなかったり。

でもさ、人間って怖いよな。

それはどんどんエスカレートしていった。

教科書を破き、
ノートや机には毎日落書き。
蹴られ、叩かれ、

…心も体もボロボロだったのが、俺にははっきりと見えた。

……苦しかった。

そして、悔しかった。

丁度、あの5人はクラスがばらばらだったんだ。
体につく傷も、服を着ていれば見えないものばかり。

だから…誰も気づかなかったんだと思う。

それが、高校まで続いて……………

今に、至る。