壊れるくらい抱きしめて (ページ38)

今日:29 hit、昨日:18 hit、合計:947,414 hit

大嫌いな Sho ページ38

『ただいまー。』

眠っている筈の彼女に

玄関先でボソッと呟く。

危なっ。

履き散らかった靴に躓き

バランスを崩しそうになる。

ん?

感じる違和感。

足元には

見覚えのない靴。

恐る恐る部屋に入れば

ソファの上に横たわって眠るAちゃんと

何故かその手を握る顕嵐の姿が目に付く。

『ちょっとどういうこと?』

半分寝かけていた顕嵐が

俺の声に反応して目を覚ます。

顕『あんま大きい声出しちゃうと

起きちゃいますから。

向こうで話しましょう。』

そう言って寝室の方を指す顕嵐。

年下のくせに妙に大人っぽい

此奴のこういうところが嫌いやねん。

しかもここ俺ん家やし。

まぁ正確にはAちゃんの家やったんやけど。

イライラしながら

自分を睨みつける俺に対して

顔色一つ変えず落ち着いた様子で

話し始めた顕嵐。

顕『Aさん

同じマンションの客に部屋特定されて

ドアの前でずっと脅されてたんですよ。

俺があと一秒来るのが遅ければ

彼女は大変な目にあってました。

とりあえず

次来たらここに住めなくなるって

脅しといたけど

絶対に来ないという保障は無いです。

だから

Aさんを紫耀さんがいない一人の間

俺ん家に居てもらうのはどうかなと思って。

本人には相談したら

そうしたいって言ってくれたんですけど。』

『それはどうも。

でも俺やって遅くなる日があっても

毎日帰ってくるし

Aちゃん結構強い子やから

大丈夫やで。』

顕『大丈夫って。

よく簡単にそんなこと言えるな。

彼女がどれだけ恐ろしい思いしてたか分かるか?

俺が来た後も暫く震え止まらなかったんだぞ?』

俺をキリッと睨みつけ

さっきまでの冷静さは何処へやら

俺に怒鳴り込む顕嵐。

でも話してる途中で我に帰ったのか

再び

落ち着きを取り戻しAちゃんの話を続ける。

顕『それに

紫耀さんは何もわかってないですよ。

彼女は強い子なんかじゃない。

本当は繊細で弱い子なんです。

だから彼女と一緒にいるなら

もっと大事にしてあげて下さい。』