番外編:もう片方の幼馴染 ページ41
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｢もうほんと、湧の好みって感じ！分かりやすいよねえ、｣
｢うっちー指差しちゃ失礼でしょ。すみません、先輩｣
『いえいえ…』
昼休み、
ひとつ上の幼馴染が｢紹介するわ、｣と突然彼女さんを連れて来た時はびっくりした、
よくあんな依存してる幼馴染さんからA先輩を奪えたね？って。帰ったら、じっくり話を聞かなきゃ。
｢…あ、自己紹介まだでしたね。安嶋って言います、こっちは内村｣
『…あじくんとうっちーくん？』
｢はい、好きなように呼んでください｣
おめでとう、と口にしたのはいいけど正直この状況は居た堪れない。
だって、紹介してきた当の本人が先生に呼び出しを食らって 結局ほぼ初対面の3人で食べる事になったし。
本当先輩に申し訳ない、絶対気まずいに決まってる、
｢ねえねえA先輩、湧のどこが良かったの！｣
｢うっちー、敬語｣
『敬語じゃなくても大丈夫だよ。湧くんの好きな所かあ…、本人には内緒にしてくれる？』
｢うん！！｣
『じゃあ、特別に教えてあげるね』
落ちてきた髪を耳にかけて、小さな声で ｢なんでも全力なところ、｣ と恥ずかしそうに言ったA先輩に、どくりと胸がはねる。
同級生には感じない色気があって、でも節々にお茶目な部分が見え隠れ。
…可愛いひとだな、もし、湧の彼女じゃなかったら、
｢はは、A先輩照れてる！可愛い！｣
『先輩をからかうんじゃありません、』
｢ええ、あじもそう思うよね？｣
｢…、｣
｢あじ？｣
うっちーに肩を叩かれて、我に返る。
俺、幼馴染の彼女さんに何を思った、？
｢…ごめん、何の話？聞いてなかった｣
｢もう〜、あ、A先輩の唐揚げ美味しそう！｣
『そう？じゃあ初めまして記念にあげるね』
｢やった、｣
『あじくんも、はいどうぞ』
｢…ありがとうございます、｣
俺、この人の幼馴染じゃなくてよかった。
きっと、平塚先輩と同じ末路を辿っていただろうから。
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作者名：そり
| 作成日時：2020年8月4日 19時
