逆転満塁ホームラン！【Waku.m】 (ページ39)

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『…嬉しい、』

｢や、絶対俺の方が嬉しいわー…、あー、｣

汗臭くないかな、…いやでも汗臭いって言われても今は離したくない。

幸せ過ぎんだもん、

Aちゃんが彼女…うん、彼女。いい響きだ。

ぎゅうっと力を強くして幸せを噛み締めていると、Aちゃんがぽつりと話し出す。

『…湧くん、私ね、ずっときっかけが欲しくてグラウンドにいたの』

｢え？…あ、そういえばなんであんな所にいたんだろって思った覚えが、｣

日陰がないグラウンドの隅に居るもんだから、最初は写真部かなんかと思ったけど。でもカメラなんて持ってなかったしAちゃんは帰宅部だ。

『…笑わないで聞いてね？』

｢ん、どした？｣

『…実は、知り合う前からずっと湧くんの事が好きで、』

｢…ハ？え？｣

ちょ、待って、と処理が追いつかない俺の頭を放ってAちゃんは続ける。

『しょうまを待ってる時にグラウンドを見てたら野球部が練習してて、…なんだか分かんなけど湧くんばっか目に止まって、それ以来、ね。』

｢…うっそお、｣

『ほんと。だからね、正直ボールが当たった時ラッキーって思っちゃった』

｢待って、ちょー嬉しいんだけど、｣

『ふふ、』

いたずらっ子の笑みを浮かべたAちゃんはするりと俺の腕の中から抜けて、口を掠める位置にひとつキスを落とした。

…え、

それに気付いた瞬間、ぼわっと身体の体温があがって、…動悸ってこんなに早くなんの？

『…しょうま待ってるだろうし、行こ？』

｢はいストップ、｣

『え、？』

｢そんな顔、俺以外に見せちゃやなんだけど？｣

俺に負けないくらい、顔真っ赤じゃん。

被っていた帽子をAちゃんに被せて顔が見えないようにする。

｢可愛すぎんのも大概にしてね、俺死んじゃうかもしんないから｣

『…ばか、』

｢そのばかに惚れたのは誰？ (笑)｣

さっきの不意打ちの仕返し、これくらいなら許されるでしょ。

帽子のツバをぐっと押さえて、今度は俺から "口に" キスをした。

…恋敵は幼馴染という危機的状況を乗り越えた完全勝ち越し、これってもしかして、

逆転満塁ホームラン end

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