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｢…、｣
平塚の部屋から出てきたAちゃんは、酷く目を腫らしていて。
その話題に触れていいのか分からないから 黙って隣を歩く事しか出来ない。
街灯の数を数えたりして、ぼーっとしていると。
『…湧くん、』
｢…あ、何？｣
『あのね、しょうまと仲直りした、』
｢…ん、良かったじゃん。な？言っただろ、あいつはケロッとしてるって｣
やっぱ、仲直りしたんだ。
隣を歩くAちゃんの横顔が嬉しそうで、やっぱ平塚は大切な存在なんだなって。
いいなあ、Aちゃんと幼馴染の世界線とか。
『あと、』
｢うん｣
『ちゃんと、湧くんが好きって言ってきた』
｢うん、…え？｣
流すように頷いてはみたけれど、突然放たれた衝撃的な言葉に足を止める。
冗談？って思ったのも束の間、Aちゃんは『冗談じゃないよ』と先手を打ってきた。
すき、好きって…好き？
一周まわってAちゃんの言う好きって何？？
バクバクする心臓は今にも破裂しそうで。
｢日本語ってむずいな…｣
『あ、駅着いた。…ここからは帰れる？』
｢ちょ、まって、色々待って｣
今帰るのはほんとにナシ、俺一睡も出来なくなるから。
尋常じゃない手汗をズボンで拭って Aちゃんの腕を掴む。
言い逃げなんてずるいし、絶対させない。
伏し目がちに顔を赤くするAちゃんに俺の中の何かが爆発寸前で。
｢…Aちゃん、来週の日曜、空いてる？｣
『え、…うん、』
｢試合あるから、見に来てよ。とびっきり可愛い格好で、｣
わかった、と頷いたAちゃんとの間に沈黙が落ちる。
…恥ず、いけど。
改札を抜けて、ひと気がない事を確認してからAちゃんの背中に向かってこう叫ぶ。
｢絶対ホームラン打つから！…そしたら、その時に、俺から言わせて、｣
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作者名：そり
| 作成日時：2020年8月4日 19時
