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｢…どういうこと、｣
『怒らないで、湧くんが行こうって言ってくれたの。私があまりにもしょうまを気にかけてたから、』
ふざけないでよ、ドアを開けたら2人が立ってるってこと？
Aの顔は見たいけど、湧は見たくない。
なんなの、同情のつもり？…デート終わりに来るとか、
｢…帰ってよ、｣
『しょうま、』
｢Aには湧がいるじゃん、俺が居なくても、Aがいちばん大好きな湧が｣
ぽっと出に奪われるなんて、悔しくて、
引いたはずの涙がまた溢れてきた。
『…入るね？』
｢やだって、｣
嫌だと言ってるのに。
ドアが開いて、Aが顔を覗かせる。
ぬいぐるみをひとつ投げつけると、湧が手でガードして地面に落ちた。
…やっぱりAなんて見たくなかった、湧の為に可愛い格好をしてるAなんて、
久しぶりに感じるAは、お邪魔します、と1人で俺の部屋に入ってきた。
『しょうま、大丈夫？』
｢大丈夫じゃないから帰って｣
『帰らないよ。ほっぺまだ痛むの？』
｢…子供扱いしないでよ、｣
帰って、なんて口走ってしまう割にAの袖を握ってしまうし、
汗でベトベトなはずなのに嫌な顔ひとつせずに頭を撫でてくれるAの手が好きで仕方ない。
｢…A、すき、｣
昔からずっと、大好きなんだよ。
依存って言われてもいい、俺の頭じゃ わがままを言う事でしかAを繋ぎ止めておけなかったから。
俺がAのいちばんじゃなくなっても、俺のいちばんは変わらないんだよ。
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作者名：そり
| 作成日時：2020年8月4日 19時
