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｢あのー…｣
『…なんでしょう』
なんか、変だ。この子の前だと上手く口がまわらない。こんなの、俺らしくない。
ボール当たりましたか、とか怪我はないですか、とか。色々聞くことはあるのに。
いま、1番気になってる事は。
｢…名前、聞いてもいい？俺は3組の元木です｣
『…元木くん、私は4組の畑野です』
｢下は？｣
『A、ですけど』
顔にピッタリの可愛い名前、
なんてくさい台詞は飲み込んで。
｢そっか、Aちゃんか。
…あの、さ。俺の打ったボールが直撃して倒れたんだよね？、マジごめん！何でもするから許して！｣
俺が頭を下げると Aちゃんは｢顔あげてください！｣と掛布団をぼふぼふ叩いた。
見た感じ怪我はなさそうだからよかったけど、下手したら女の子の体に一生傷を残してしまうところだった、ほんと、男として1番やっちゃダメなやつ。
『元木くんは悪くないの、私があんな所にいたから、』
｢いや、俺が悪いから。でもなんであんな所いたの？暑いっしょ、日陰ないし｣
『それは…内緒。もう大丈夫だから部活戻っていいよ？』
｢あー…、いや、心配だから家まで送るわ。顧問には伝えてあるから待ってて、鞄取ってくる｣
『え！？』
、ほんとに大丈夫なんですって！
背中越しに聞こえたAちゃんの慌てた声を聞こえない振りして、保健室を出る。
…心配なのもほんとだけど、もっとお近付きになりたいっていう下心があるのも事実だったり、
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作者名：そり
| 作成日時：2020年8月4日 19時
