続き ページ38
その時、店の戸を叩く音がした。すぐさま女将さんが表へ出ていったので、Aは自分の部屋へ行き、忙しなく脈打つ鼓動を落ち着かせるよう休んでいた。
その時だった。
表の方からギャアッ！という女将さんの叫び声が聞こえてきた。
『女将さんっ！』
突然のことに驚きながらも玄関まで走る。
だが、そこにあるのは店の玄関からその敷居の外にまで広がる血飛沫と、女将さん“だったもの”がひしゃげて転がっているだけだった。
『お、女将…さん…？』
ずるりと膝から崩れ落ち、ぺたん、とその場に座り込み暫く放心していたが、ハッと我に帰る。
女将さんのものであろう血がついた足跡が玄関を上がって廊下まで続いていたのだ。
そしてその血の跡は、ある部屋まで続いていた。
『(まさか…！！)』
とっさに不吉なことを思い浮かべ、重い着物をひきづりながら走る。
部屋にたどり着き勢い良く襖を開けると、その瞬間ﾋﾞｼｬｱｯ！！と何か熱いものが顔にかかってきた。
それが、人間の血だと気付くのにそう時間は掛からなかった。
そしてその血の持ち主は、
『紅姫、花魁…！…』
肺と、喉に大きな傷がある。そして喉は何者かの腕が貫通しており、花魁は既に生き絶えていた。
すると次の瞬間、何者かが花魁の喉から貫通していた腕を抜き、勢い良くその遺体をハエでも払うかのように投げ飛ばした。
『………！！！！』
初めてだった。こんなにも、何かに憎しみを覚えるのは。
まだ自分が切見世に引き取られる前、周りの大人達から嫌悪の視線を向けられても、嫌な子供達に泥を投げつけられても、Aはただ無表情で耐え続けるだけだった。
けれど、今目の前で大切な人を見るも無惨な形で殺されて、無表情で耐えることなど誰が出来ようか。
『(許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない。)』
何者かが此方を見ている。否、端正な顔立ちをした人ではない何かが。
？)「誰だ……？俺に殺されに来たのか…？」
此奴こそ、Aが生まれて初めて見る鬼だった。
『お前が…女将さんと、花魁を…、殺したのか…？』
自分でも驚くほどのドスの効いた低い声。無意識に顔に力が入る。ビキビキと額に青筋が立つのが分かる程に。
鬼)「花魁…？このガリガリ女がか？」
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蓬(プロフ) - 夜凪碧さん» ありがとうございます、励みになります！ (2020年11月6日 17時) (
レス) id: 3c1526f3a9 (このIDを非表示/違反報告)
夜凪碧(プロフ) - 文章が上手で物語が捉えやすいです！！！それに内容もとても面白いです！！！！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年11月6日 17時) (レス) id: be53cfd8d7 (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - ルナさん» すみません！すぐ直しますね。ご指摘ありがとうございます。 (2020年10月31日 8時) (レス) id: 3c1526f3a9 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - たんじろうって漢字は次じゃなくて治で「炭治朗」ですよ (2020年10月30日 21時) (レス) id: 6d97165307 (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - 静乱さん» ありがとうございます！まだ物語は進んではいませんが、これから頑張って行きます。 (2020年10月15日 20時) (レス) id: 3c1526f3a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓬 | 作成日時：2020年10月10日 23時
