続き ページ32
『この勝負、どちらが勝つか…。』
プレゼントマイクの合図で対戦が始まる。
出久が自分の方へ向かってくる氷の塊を指で弾く。だがその分、指一本一本への負担が大きいため一度弾いただけで使い物にならなくなる。
『(無難なやり方。でも、効率が悪い。)』
これではすぐに手段が無くなってしまう。
しかし、これで終わらないのが緑谷出久。高い分析力で相手の弱みをつき、そこから勝機を“作り出す”。
『(分析と言っても、それには高い観察力と、しっかり頭で考えなくちゃいけない。)』
ここまでの分析力を持つ者は鬼殺隊にもいないくらいだ。
こうなってくると焦凍も何か対策を練りながら戦わねばならない。
『(面白い。)』
この対人戦を見て思ったのは、この言葉に限った。初めてだった。他人の戦いを見てそう思ったのは。
本人達の思惑がはっきりと、手に取るように分かる。楽しい。
だが今はそれどころでは無いので、観客席の見回りを続ける。
思ってなどいない。自分も焦凍のような、強い個性が欲しかったなんて。ましてや、ヒーローになり無かっただなんて。
結局は前世の記憶を思い出し、お館様に引き取っていただき、無事に鬼殺隊に入隊することが出来た。
おかげで死に際の恥ずかしい台詞も思い出すことになったが。
転生後、初めて師範と会った時は気まずかったが今はそれなりにやって行けている。今は、何も思っていない____。
緑)「君の！力じゃないか！！！」
ふと、出久のそんな声が聞こえて来た。その時Aは、胸を銃弾で貫かれたような感覚に陥った。
『………！！！』
何故だろう。
言われたのは焦凍なのに、こんなにも胸が苦しいのは。
彼は何も知らない筈、なのに何故、言葉が痛い程刺さっているのだろう。
ただ一つ分かったこと。
それは、親の力だからと憎しみ続けた力が、初めてあの子の力として認められたという事だけ。
二人の戦いは終りを告げた。
勝敗は決まり、焦凍が準決勝へ勝ち進んだ。
だがそんな事は、Aには関係無かった。
Aが言える事はただ一つ、
『(出久君、)ありがとう。』
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蓬(プロフ) - 夜凪碧さん» ありがとうございます、励みになります！ (2020年11月6日 17時) (
レス) id: 3c1526f3a9 (このIDを非表示/違反報告)
夜凪碧(プロフ) - 文章が上手で物語が捉えやすいです！！！それに内容もとても面白いです！！！！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年11月6日 17時) (レス) id: be53cfd8d7 (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - ルナさん» すみません！すぐ直しますね。ご指摘ありがとうございます。 (2020年10月31日 8時) (レス) id: 3c1526f3a9 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - たんじろうって漢字は次じゃなくて治で「炭治朗」ですよ (2020年10月30日 21時) (レス) id: 6d97165307 (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - 静乱さん» ありがとうございます！まだ物語は進んではいませんが、これから頑張って行きます。 (2020年10月15日 20時) (レス) id: 3c1526f3a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓬 | 作成日時：2020年10月10日 23時
