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彼女は同じ学部の同級生で、入学式の時に顔を合わせてから仲良くなった。
これでもかって言うくらい一緒に時間を過ごして、一番素でいられるのは彼女の前だった。
その頃の私は「レズビアン」なんて言葉を知らなかったから、彼女と恋人になるなんて選択肢はさらさらなくて。

そんなことしているうちに彼女は恋人を作って私から離れていった。
彼女を幸せにできるのは私だけだと思っていたのに、彼女が笑うのは知らない男の隣になったのだ。
大失恋をして絶望のど真ん中にいた時に福良に出会った。

「私、あの時福良と出会えてなかったら今頃死んでたかも。」

「なんでよ」

「それだけアンタの存在に救われてるってことよ」

「そんなに酔ってんの?」

別に酔ってる訳じゃない。
あの時は本当に人生のどん底にいた。
中学受験に失敗した時よりも、母親にカミングアウトを受け入れてもらえなかった時よりも、今までの人生のどんな瞬間を切り取ったって、あの子の視線が私にむかなくなった瞬間が一番辛かった。

自分の人生はあの子なしじゃ成り立たないとまで思った。
そんな時に福良は私と出会ってくれた。
ありえないくらいテンションが低い私に話しかけてくれて、失恋したんだ、とだけ言えば、気分転換になると言って私を外へ連れ出してくれた。
それはカラオケだったり、ただご飯に行くだけだったり、近くのゲームセンターに行くような、なんでもないことだったけど、私は福良との日々に救われたんだ。

「酔ってないよ。本当に感謝してるの」

「…そっか」

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作者名:シロ | 作成日時:2021年3月19日 2時

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