【QK】レモンドロップを溶かして【Fkr】 (ページ3)

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オフィスの近くのお気に入りのレストランに入る。
福良には、また？なんて聞かれたが、ここのリゾットが好きなんだから仕方ない。
福良だっていつもその野菜の少ないパスタ頼んでるんだからいいでしょ。

「そろそろ彼女欲しいなー」

「前の子と別れたの、いつだっけ」

「もう2年くらい経つ。今度こそ運命だと思ったんだけど」

私はレズビアン、と呼ばれる部類に自分を振り分けている。
自分は女だと自認していて、恋愛対象も女の子。同性愛者、と呼ばれるやつだ。
最後に付き合った子は大学卒業してからすぐ、やっぱりアプリで出会った子で、見た目もタイプだったし、絶対幸せにするって誓ったんだけど。

「結局あの子も、やっぱり私はビアンじゃなかったって男作ってきたんだよね」

「どうせ、その子にも真面目に語ったんでしょ」

「頭の良い子だったから。話聞いてくれる人がいて嬉しかったの」

自身がレズビアンで大学での専攻はLGBT。
出会う子も当事者だから、どうしても自分が学んだことを共有したくなってしまうのだ。
世の中、男と女だけじゃないんだよ。女の子を好きだからって、レズビアンってわけじゃないかもしれないんだよ。
そんなことばかり喋っていたら、私の元カノは尽く男を好きになっていった。

「俺が聞いてるじゃん」

「アンタにはもう一通り話したでしょ。」

「何回だって聞くけど？」

「福良はそもそも反応が薄い」

最初こそ興味あり気に色々聞いてきたが、今では何度も繰り返される同じ話に隣で興味なさそうに空な目をしてる。
そんな人に話しても何の面白みもない。
そもそも当事者じゃない人が興味持つことの方が珍しい。
だから当事者に話したくなるのだ。
その結果、私が真剣に付き合った女の子たちは「新たな発見」をして、口々に「私はレズビアンじゃなかった」とか「好きな男の人ができた」とか言って私から離れていった。

「これももう飽きちゃったし」

アプリを開いたまま机の上に放り出すと、福良は身を乗り出して私のスマホを手にとった。

「アプリって危なくない？」

「別に危ないことはないけどね。アンタはやめなよ、有名人なんだから」

「いや、やらないけど」

興味津々な様子で画面をスクロールしている福良。
変なとこタップすんなよ、と思いながらテーブルの上のアイスティーに口をつけた。