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さて困った。
店の金で買い物に来てる以上、できれば袋にお金はかけたくない。後々自腹でと言われるのは癪だ。
試行錯誤した結果、牛乳とアーモンドミルク、レモンの入った袋を腕に抱えてスーパーを後にした。
こういう時に日本人は冷たい。
腕いっぱいに荷物を抱えた若い女性が1人大変そうに歩いていても、なんだあれ、と冷たい視線を送るだけ。
好奇の目を向けてくるくらいなら手伝ってくれと言いたい。
スーパーを出て何分も経たなかったと思う。すみません、と声をかけられて振り向くと、そこには色白の男性が立っていた。
「これ、落としませんでしたか？」
そう言って差し出されたのは私のイヤホンケース。どこかで落としたのにも気づかなかったらしい。
「私のです、ありがとうございます」
そう言ってショッピングカートから一度手を離してケースを受け取ろうとした時。重さでバランスが取れなくなったカートが傾き始めた。
しまった、倒れる、思った瞬間、男性の手がカートの持ち手を捉えた。
「あっぶねえ」
「すみません」
「大荷物ですね」
当たり前のようにカートを立て直してケースを私に渡すと、その男性は柔らかく笑った。
「バイト先の買い出しで」
「なるほど」
ありがとうございます、とカートに手を伸ばそうとすると、その男性はカートを掴んだまま自分の方へ引き寄せた。
「良かったら手伝います」
「え？いや、でも」
手伝ってくれと、心の中で悪態はついたが。別に本当に手伝ってほしいと思っていたわけじゃない。
「時間あるので。お店どこですか？」
「あ、あっちです」
結局その男性は私と一緒に店まで来てくれた。
「パンケーキ屋さんですか？」
「そうです。良かったら今度食べに来てください」
「ぜひ」
「私、Aって言います」
「ワタナベです」
いつもだったら初対面の、しかもこの先出会うこともないかもしれない人に名乗るなんてことはない。
けれど、その時はこの人は絶対ここに来てくれるし、また会うだろうと心のどこかで確信していた。
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シロ(プロフ) - 夢小説大好きおばけさん» はじめまして。コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです…その後、いつかどこかで公開します:) (2021年3月3日 16時) (
レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
夢小説大好きおばけ(プロフ) - 初めまして、どの話も本当に素晴らしかったです。言葉選びが優しくて、特にKochanのエピソードが思い出話含め一番好きでした……！いつかその後を拝読できる日が来ることを願っています。 (2021年3月3日 15時) (レス) id: a1cfe06fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年12月24日 12時
