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いまだに落ち着かない心を押さえつけながら、彼女と他愛もない話をする。
彼女はこの辺りに住んでいる学生で、今は長期休みなのだと言った。
「絵、描いていますよね」
「ええ、趣味で。見ますか？」
「見せていただけるんですか」
「拙作ですが」
そう言って彼女はスマホを取り出した。
数回画面をタップすると、画面を上にして見せてくれた。
そこには色鉛筆で書かれた風景画。一見しただけでも細かく書き込まれているのがわかる。
しばらくその絵に見入っていると、彼女の指が画面を滑る。同時に別の絵が現れた。
「これは、そこの公園です」
確かにこの店の窓から見える風景だ。
彼女はまた何枚かめくっていく。そして、紅葉の絵に目が留まった。
「これは…」
「これもすぐ近くの公園ですよ。3日前くらいに描いた絵です」
「紅葉、綺麗ですね」
「そうですね」
いいですか、と聞くと、どうぞ、と彼女はスマホを僕に手渡した。
受け取り、まじまじと見入ってしまう。
どの絵も言うまでもなく素敵だ。細かく描き込まれていて、繊細、と表現するのが合っている。しかしなぜかこの絵にどうしても惹かれた。
「そんなに気に入っていただけましたか」
「はい、とても」
「よかったら送りましょうか」
「いいんですか」
「もちろん」
そう笑うと、今度は彼女が僕の手からスマホを受け取った。
スマホ出してください、と言われ僕もポケットからスマホを取り出す。
画面をロックするために暗証番号を打ち込んでいるところで、彼女は思い立ったように言った。
「そうだ。この紅葉、見に行きますか。すぐそこなので、散歩がてら。」
今日はこのままここに座っていても企画は詰められなさそうだし、たまには運動もした方がいい。ここ最近座ってばかりいたことを思い浮かべて、彼女の誘いに乗ることにした。
「いいですね」
「じゃあ、いきましょう」
彼女はいつになく楽しそうにワクワクしているのが目に見えてわかった。今までは知らなかった彼女の無邪気な一面が垣間見えた。
カフェから公園までの散歩。たった15分ほどだったが、後に彼女はこの散歩を初デートと呼んだ。
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シロ(プロフ) - 夢小説大好きおばけさん» はじめまして。コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです…その後、いつかどこかで公開します:) (2021年3月3日 16時) (
レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
夢小説大好きおばけ(プロフ) - 初めまして、どの話も本当に素晴らしかったです。言葉選びが優しくて、特にKochanのエピソードが思い出話含め一番好きでした……！いつかその後を拝読できる日が来ることを願っています。 (2021年3月3日 15時) (レス) id: a1cfe06fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年12月24日 12時
