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「さあ、練習一本目、準備はいいですかー？」
須貝さんの掛け声に返事をしつつ、最後に自分のブーツが収まっているビンディング*を確認する。
「じゃあ自由に滑り始めてくださーい」
その合図に1番に立ち上がったのが乾と山本。
次に俺がなんとか立ち上がり、こうちゃんは立ち上がること自体に苦戦している模様。
ずっ、ずっ、と慎重に板を滑らせる。じりじりと雪を踏んでいく感覚が足に伝わる。
自分でも太ももに力が入っているのが分かる。この力を抜いたら立っていられなくなるのも分かる。
「伊沢さーん！大丈夫ー！？」
遠くから山本の声が聞こえる。
できれば今じゃない。話しかけるタイミング間違えてるぞ、と言いたかったがそんな余裕もなくただ叫んだ。
「無理！！」
案の定叫んだ瞬間に爪先側が雪に刺さり、そのまま前に倒れていった。
だから今じゃなかったのに。空気読んでくれ。
遠くで山本と須貝さんと乾の笑い声が聞こえる。
「こうちゃんはー！？」
「無理に決まってる！！」
なんとか起き上がって斜面の上の方を見ると、こうちゃんはこうちゃんで起き上がるところから苦戦しているようで、いまだにリフトを降りた数メートルのところで蹲っていた。
「じゃあ、俺ら先行くんで、頑張ってくださーい！」
須貝さんはそうこちらに叫ぶとすぐに見えなくなった。山本と乾も着いて滑り始め、あっという間に斜面に隠れた。
安全のために最後尾についているスタッフを残し、他のスタッフは前の三人について行ってしまった。
スタッフをたくさん連れてきているわけでもない。つまり真ん中の俺は1人で滑ってくれというわけだ。
バランスを保ちながら、以前にスノーボードをした時の感覚を必死に思い出す。
なんとか立ち上がってまたずるずると雪を踏みしめながら滑って行く。
もう10回ほど転ぶと、だんだんと感覚が掴めてきたような気がした。
*ビンディング：スノーボードの板についている、ブーツを板に固定するための器具のこと。
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シロ(プロフ) - 夢小説大好きおばけさん» はじめまして。コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです…その後、いつかどこかで公開します:) (2021年3月3日 16時) (
レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
夢小説大好きおばけ(プロフ) - 初めまして、どの話も本当に素晴らしかったです。言葉選びが優しくて、特にKochanのエピソードが思い出話含め一番好きでした……！いつかその後を拝読できる日が来ることを願っています。 (2021年3月3日 15時) (レス) id: a1cfe06fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年12月24日 12時
