108本の薔薇 #sgi ページ20
「楽しかったね〜」
彼女の誕生日。
今年はいつもよりも特別な日にしたくて彼女を連れ出して旅行にきた。
一日俺が立てたプランに付き合ってもらい、日が暮れて予約した宿に向かう。
「計画してくれてありがと」
「どういたしまして。」
助手席でこちらに微笑んでいる彼女。
暗がりでその嬉しそうな顔が照らされてこちらまで嬉しくなる。
宿に到着してチェックインを済ませ、部屋へ向かう。
さて、ここからが本番。
彼女に渡したカードキーで部屋の扉を開け、中に入っていく。
奥に進むとダブルベッドがあり、その上には事前に送って用意してもらったバラの花束。
「えっなにこれ」
「A、誕生日おめでとう」
「え〜ありがと〜」
びっくりしながらも嬉しそうに花束を抱え上げる彼女。
その大きな束を腕いっぱいに抱える彼女に近づきながら小さな箱を取り出す。
「その薔薇、何本あると思う?」
「え?何本...100本とか?」
「残念。これは108本」
「108本?なんで108?」
どうやら彼女は108本の薔薇を送る意味を知らないらしかった。
そんなところも可愛くて好きなんだよなあ。
「108本の薔薇をプレゼントするって、結婚してくださいっていう意味なんだよ」
「え…」
「A、俺と結婚しよ」
先ほどから手に握っていたその小さな箱を開けて彼女の方へ向ける。
そしてその瞳がだんだんとぬれていく。
「本当に?」
「本当に。返事は?」
「はい…!」
かろうじて返事をすると涙を流す彼女。
指輪はめていい?と聞くと無言で何度も頷きながら手を差し出す彼女。
指輪を見てまた号泣する彼女の涙を指で拭ってやる。
「これからよろしくね、奥さん。」
「何で撮ってるの!?」
「だって可愛いから」
「泣き顔ブサイクだからやめて〜」
「後で見返すんだ」
「意地悪」
「Aが奥さんになりました」
「駿貴さんが旦那さんになりました」
「薔薇で顔が見えないよ(笑)」
「隠してるの!」
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作者名:シロ | 作成日時:2020年11月11日 13時