【QK】取扱説明書【短編集】 (ページ23)

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嫉妬されたい子 #ymmt ページ23

朝から雨が降っていた日。
今日は2人とも休みだけど、外には出たくないよね、と話し合って家でのんびり映画でも見ることにした。
何を観ようか、と以前面白そうな映画を見つけた時に保存した画像を探していると、昔の写真ができた。
高校生の時の私。部活に明け暮れていたために真っ黒に日焼けしている。と、その写真を見ているといたずら心が顔を出した。

「ねえ、そういえば祥彰の昔の写真とか見てみたい」

「昔の写真？」

「うん、大学とか高校とか学生の時の」

「いいけどあるかなあ」

そう言うと徐にスマホを取り出して写真のフォルダーを探し始める彼。
機種変更したときにうまくいかずデータが飛んでしまったことがあるらしく、古すぎる写真はあまり残ってないと言いながら見せてくれたのは高校の卒業式と大学の入学式の写真だった。

「やだあ、変わんないねえ。可愛い」

顔立ちはあまり変わっていなかったが、やはり時の流れを感じる。

「これとか、凄い幼いね。髪、短い方がいいんじゃない？」

画像と見比べながら彼の髪の毛をわさわさとかき回すと、やめてもう、と言いつつも満更でもなさそうな顔をしている。そういうところは今でも可愛い。

「Aも写真見せてよ」

そう。私はこの言葉を待っていた。
先ほどまで見ていた写真の画面を彼に見せる。
そこには体育祭の時に後輩にせがまれて撮ったツーショットが表示されている。
そして今見える範囲のそのほとんどが男の子とのツーショットだった。

「…可愛い」

ポツリとつぶやいた彼。
昔の私が可愛いのは置いておいて、男子との写真を大量に見て何も思わないのだろうか。
もっと見てみて、と催促すると言われるままにスクロールしている。

「どう？」

「え？」

「なんか思う？」

「なんか…？可愛いね？」

「それだけ？」

鈍感なのか、わざとなのか。
あまりに何も答えないので痺れを切らして彼の膝を叩く。

「ちゃんとみて、私男と写ってるよ。何も思わないの？」

もう一度画面に視線を落として、ああ、とやっと合点が入ったような顔になる彼。
本当に何も思ってなかったのか。

「嫉妬して欲しかったの？」

「嫉妬しないの？」

「うーん。そんなことよりもこのAが可愛いからなあ」

サラッと言って除ける彼。
出会った当初はこんなことがサラッと出てくるような感じじゃなかったのに。

「でもやっぱり、俺の彼女になった今のAが一番可愛いかな。」

嫉妬して欲しくて見せた写真だったが、思わぬカウンターパンチを喰らった。