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「送っていただきありがとうございました」
結局アパートの前まで送ってもらい、須貝さんに深々とお辞儀をした。
「どういたしまして。ちゃんと戸締りするんだよ」
最後まで気を遣ってもらい、感謝でいっぱいだ。
もう一度頭を下げ、アパートの入り口に向かった。
それから夜はなるべく遅くならないように家に帰るようになった。
次の出勤時に社員さんにも相談したところ、黒田さんは前の日にジムを退会したと言うことを聞かされた。
念のためなるべく早めに上がらせてもらったり誰かと一緒に帰るように配慮してもらったり、何から何まで心配りしてもらっていい職場で良かったと思う。
そして須貝さんにも黒田さんが退会したことを報告し、とにかく一見落着したように見えた。
その日は大学でサークルの集まりがあった。
会議が白熱し、このまま食事にでも行こうとなった。
あのことから1ヶ月経っていたし、黒田さんは退会して会うこともなかったので大丈夫だろうと思ったのがいけなかった。
サークルの仲間と楽しく食事を済ませて店を出る。
じゃあまた明日、と別れ家に向かった。
イヤホンで音楽を聴きながら歩いていると急に手首を掴まれた。
びっくりして見上げると黒田さんだった。
「Aちゃん久しぶりだねえ。元気にしてた？」
「黒田さん…」
「覚えててくれたの？嬉しいね。僕、仕事の都合で引っ越すことになってさあ。久しぶりにこの駅に寄ったら会えるなんてやっぱり運命だよ」
不気味な視線に捕らえられて鳥肌が立った。
「離してください…」
大声を出そうとしているのに恐怖で出ない。
こういう状況になっても絶対に自分は大丈夫だと高を括っていたのだがそうでもないようだ。
「いやあ、待ってた甲斐があったなあ。絶対会えると思ってたんだよ」
やはり待ってたのか。
腕を離そうと一生懸命後ずさっている間にどんどん人気のない方に追い込まれる。
「ねえ、そういえばこの前のあの男は誰？Aちゃんとどういう関係なの？」
このままでは手も振り解けなければ声も出せない。
落ち着いて何か考えなければ。
「ちゃんと話するので、離してもらえませんか」
努めて冷静に振る舞おうとして出た言葉は自分でもびっくりするぐらい低かった。
その冷めたトーンに驚いたのか、一瞬黒田さんの力が緩んだ。
その隙に力ずくでその手を振り解きとにかく走り出した。
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ゆきんこ(プロフ) - こんばんは。コメント失礼します！ こちらの作品最っ高で読みながらニコニコしてました！ 完結おめでとうございます！！ (2022年6月3日 21時) (
レス) id: 83dccc5424 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - りみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！力になります！ (2021年1月15日 15時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - 毎回ドキドキしながら読んでおります^^*次回の更新も楽しみです！ (2021年1月15日 2時) (レス) id: 8d6821c78b (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 緋歌梨さん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました。誤字が多く読みづらくて申し訳ないです… (2021年1月6日 12時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！4ページ目“振れられる”じゃなくて､“触れられる”じゃないですか？ (2021年1月6日 11時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年11月22日 1時
