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「どうしたの」
そこには買ったばかりのペットボトル飲料を持った須貝さんがいた。
その姿に思わず気が抜ける。
私の様子がおかしかったのか、須貝さんが心配そうに顔を覗き込んできた。
「すみません、大丈夫です」
「いや、大丈夫そうな顔じゃ無いんだけど。」
本当にどうした？と聞いてくる須貝さんに、なんと答えたらいいのか考えていると、後ろからの声に鳥肌が立った。
「Aちゃん、どうしたの。」
黒田さんだった。いつの間に私の名前。
外で待っていると言っていたはずだが須貝さんと話しているのが見えて入ってきたのだろうか。
「あ、えっと…」
どうしよう。何か、言わなきゃ。
思えば思うほど言葉が出てこない。
すると左肩に須貝さんの手が触れた。
「大丈夫？」
私の目を真っ直ぐに見ながら声をかけてくれる須貝さんのその声に幾ばくか冷静さを取り戻す。
「え、あなた、ジムの会員ですよね？いっつもAちゃんに話しかけてますよね？Aちゃんのなんなんですか？」
黒田さんは須貝さんに突っかかるように捲し立てた。
どんどんこちらに距離を詰めてくる黒田さんにいよいよ本物の恐怖を覚えつつ、私は無意識のうちに須貝さんのジャケットの裾を掴んだ。
「Aちゃん」
須貝さんはもう一度私の名前を呼んだ。
心臓が速く打っている。頭が回らない。
すると須貝さんはジャケットを握る私の手を上から包み込んだ。
「帰ろっか。いこ」
「あ、ちょっと、どこ行くんだよ」
須貝さんは黒田さんの方は見向きもせず、私の手を握ってコンビニを出た。
コンビニで騒いでごめんなさい、と私の頭は思ったより冷静だった。
最初こそ追いかけてくる勢いだったが、須貝さんに走るよ、と言われしばらく走っていると黒田さんの影はなかった。
当たり前だ。毎週トレーニングしている須貝さんと仮にもスポーツジムでアルバイトしている私に、いつもなあなあにトレーニングしている黒田さんが追いつけるはずがなかった。
しばらく走ったところで須貝さんが後ろを振り返り確認する。
「巻いたかな」
そう言ってスピードを緩める彼と一緒にペースを落とした。
「すみません、巻き込んでしまって」
「いや、大丈夫だった？」
「はい、」
普段走ることがあるとはいえだいぶ走ったので少々息が上がっている。
もし須貝さんに助けてもらわなかったら今頃どうなってだろう。考えるだけで血の気が引いた。やっぱりあの人は普通じゃなかったんだ。
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ゆきんこ(プロフ) - こんばんは。コメント失礼します！ こちらの作品最っ高で読みながらニコニコしてました！ 完結おめでとうございます！！ (2022年6月3日 21時) (
レス) id: 83dccc5424 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - りみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！力になります！ (2021年1月15日 15時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - 毎回ドキドキしながら読んでおります^^*次回の更新も楽しみです！ (2021年1月15日 2時) (レス) id: 8d6821c78b (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 緋歌梨さん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました。誤字が多く読みづらくて申し訳ないです… (2021年1月6日 12時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！4ページ目“振れられる”じゃなくて､“触れられる”じゃないですか？ (2021年1月6日 11時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年11月22日 1時
