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余計な考えから思考を離すように見回りや掃除をしていると、気づけば21時を過ぎていた。
もうすぐだろうか。何かを待つ時の時間はゆっくり過ぎていくもので、時計を見るたびに長い針が1メモリしか進まない。
業務に身も入らず、ノロノロ動いている秒針に苛立ちながらすれ違う会員さんに作り笑顔を振りまく。
「お疲れ様でした」
いまだ仕事をしている受付スタッフと社員さんに声をかけて私と三浦さんはジムを後にした。
結局、須貝さんはその日ジムには来なかった。
勤務が終わってスマホを開くと、新着メッセージ。
“仕事が終わらなくて、ジムの閉館に間に合わなさそう。ごめん”
仕事で来られないのなら仕方がない。自分に言い聞かせる。
「今日は須貝さん来なかったね。来るかと思ったけど」
「来ると思ったんですか？」
「うん。なんとなく」
歩くのが速い三浦さんに合わせて早歩きで駅へ向かう。
「で？決心はついたの？」
「決心？」
「告白する決心」
「告白って…そんな簡単に言わないでください」
人の恋心を遊び道具かなんかだと思ってるのだろうか、この人は。1人だけ高みの見物で楽しんでいるのだろう。
三浦さんの方を一瞥して、またスニーカーに視線を落とす。
「とりあえず、黒田さんのこと報告しなきゃでしょ」
「そうですね」
「じゃあ、今しなよ」
「は？」
「スマホ出して、画面開いて」
抵抗する気力もなく言われるがままにスマホを出して須貝さんとのメッセージを開く。
先ほど須貝さんから送られてきたメッセージで終わっている画面。
「貸して」
あっという間もないうちに掌からするりと抜けたスマホ。三浦さんはその画面に何か打ち込むと、私の方に戻した。
“お仕事、お疲れ様です。お話したいことがあるのですが、近いうちにお時間いただけませんか”
「はい。これを送るも送らないもAちゃんの自由。黒田さんの報告した後に告白するもしないも自由。」
それだけ言うと、三浦さんはじゃ、と言って改札の方へ消えていった。毎度、私を悩ませて消えていくのが得意な人だ。
残されたスマホの画面を見つめる。これを送ったところで須貝さんとの関係が一気に崩れることはない。気負いすぎることもないのだ、そう自分に思い込ませて、震える親指で送信した。
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ゆきんこ(プロフ) - こんばんは。コメント失礼します！ こちらの作品最っ高で読みながらニコニコしてました！ 完結おめでとうございます！！ (2022年6月3日 21時) (
レス) id: 83dccc5424 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - りみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！力になります！ (2021年1月15日 15時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - 毎回ドキドキしながら読んでおります^^*次回の更新も楽しみです！ (2021年1月15日 2時) (レス) id: 8d6821c78b (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 緋歌梨さん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました。誤字が多く読みづらくて申し訳ないです… (2021年1月6日 12時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！4ページ目“振れられる”じゃなくて､“触れられる”じゃないですか？ (2021年1月6日 11時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年11月22日 1時
