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心許ない外灯の下を須貝さんと歩調を合わせながら歩く。もとい、須貝さんが私の歩幅に合わせながら歩いてくれる。いつも後ろ姿を見送っているので、須貝さんが普段歩くのが速いことは知っているが、いつもこうして私のペースに合わせてくれる。
テストの話やら、最近のアニメの話やら、イベントの話やら、いつもと変わらない会話を交わしていたら、あっという間に私の家についていた。
初めて一緒に帰ろうと誘われたのでやはり何かあるんじゃないかと待ち受けてはいたのだが、結局何もなかった。
「着いちゃった…」
思わずこぼれた声が須貝さんに届いているかはわからない。
歩みを止めた須貝さんに合わせてアパートの入り口の前で立ち尽くす。
「…じゃあ、ちゃんと戸締りして、あったかくして寝るんだよ」
いつもと変わらない言葉。そして少し間を開けて、いつものように私の頭に手をのせる須貝さん。いつになったらこの関係が変わるだろうか。変えられるのだろうか。
「あの、次はいつ会えますか」
とっさに出たのは率直な言葉だった。
そんなことを聞いても、きっと困らせるだけなのに。
「次？金曜日行くつもり。Aちゃんいるでしょ」
金曜日は確かに出勤日だ。今まで出勤日を伝えたことはなかったが、まさか覚えてくれていたのだろうか。
「金曜日、ですね。待ってます」
今日は火曜日だからもう少し先だが、三日後には会える、そう思うと胸が弾んだ。
最後に須貝さんの目を自分の頭に焼き付けて、おやすみなさい、と踵を返してエレベーターの方へ歩いていく。
そのまま乗り込んで一礼すると須貝さんが手を振っているのが見えた。
「…好きです」
誰もいないエレベーターで1人呟いた。
誰にも届かないその一言は静寂に溶けていった。
須貝さんと一緒にいられるのは楽しいし、幸せだ。
ずっと、このまま続けばいい。そう思っていたけれど、ずっと心の片隅でこの状況を壊したい自分が燻っていることも承知している。
それでも何も行動できない自分にうんざりしながら、エレベーターを降り、須貝さんの帰っていく背中を見下ろしていた。
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ゆきんこ(プロフ) - こんばんは。コメント失礼します！ こちらの作品最っ高で読みながらニコニコしてました！ 完結おめでとうございます！！ (2022年6月3日 21時) (
レス) id: 83dccc5424 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - りみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！力になります！ (2021年1月15日 15時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - 毎回ドキドキしながら読んでおります^^*次回の更新も楽しみです！ (2021年1月15日 2時) (レス) id: 8d6821c78b (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 緋歌梨さん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました。誤字が多く読みづらくて申し訳ないです… (2021年1月6日 12時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！4ページ目“振れられる”じゃなくて､“触れられる”じゃないですか？ (2021年1月6日 11時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年11月22日 1時
