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特別なことがない日々というのは早く過ぎていくもので。テスト期間でバイトを休んでいる私は須貝さんとジムで会うことはなく、道端でばったり会うなんてこともなかった。
あの時コンビニで会ったのはやはり運命でもなんでもなかったんだ。須貝さんに会えない日が続けば続くほど、気分が落ち込んでいく気がした。
その中でも須貝さんは、私の帰り道を心配して時折連絡をくれた。
“今日は大丈夫だった？”
“最近はあの人に会ってない？”
それだけが私たちをつなぐ唯一の命綱のようだった。
私はそれにすがりながら、大丈夫です、ありがとうございます、とだけ返す。
“須貝さんに会いたいです”
その一文を何度も打っては、送信できずに消す日々が続いた。
テストも終わり、久しぶりにバイトへ顔を出した日。プールの監視のシフトが入っており、ジムスタッフに声をかけてから階段を登ってプールへ向かう。いつも通りビブスを着用してプールサイドで監視をしていた三浦さんの元へ向かう。
「お疲れ様です」
「お、久しぶりだね」
「久しぶりですね」
軽く引き継ぎを終えると、メガホンを渡しながら三浦さんが言った。
「あのお客さん、最近プール来てるんだよ。今日もいる」
ほら、と指差す先を見ると、泳ぎ始めようとプールの中に立ってコースが開くのを待っている男性。キャップにゴーグルをつけていても、須貝さんだと一目でわかった。
「ほんとだ」
「んじゃ、よろしくね〜」
飄々と去っていく先輩を横目に、もう一度須貝さんの方を見る。綺麗なフォームで泳ぎ始めた須貝さんに、カッコいい、以外の感想がなかった。
「うわ、筋肉…」
腕を回すと水面から除く肩の筋肉に思わず釘付けになる。
変態だと自覚はしているが、そちらばかりが気になってしまう。
当の須貝さんはこちらには気付いていない様子で一心不乱に泳いでいた。
プールサイドを歩きながら、須貝さんの方をチラチラ見ていると、別の方向から話しかけられた。
「あの、すみません」
「はい」
振り返ると若い男性が立っている。
「初めてプール来たんですけど、このビート板は使っても大丈夫ですか」
「もちろんです！どうぞ」
「ありがとうございます」
ビート版をラックから取り出して手渡すと、ぺこりと去っていく男性。所謂中肉中背で、多少脂肪がついているか。
きっとシェイプアップで通い始めたんだろう。プールを選んだのはいい選択だ。と、ジムスタッフらしいことを頭の中で考えながら、その男性がプールに入っていくのを見届けた。
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ゆきんこ(プロフ) - こんばんは。コメント失礼します！ こちらの作品最っ高で読みながらニコニコしてました！ 完結おめでとうございます！！ (2022年6月3日 21時) (
レス) id: 83dccc5424 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - りみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！力になります！ (2021年1月15日 15時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - 毎回ドキドキしながら読んでおります^^*次回の更新も楽しみです！ (2021年1月15日 2時) (レス) id: 8d6821c78b (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 緋歌梨さん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました。誤字が多く読みづらくて申し訳ないです… (2021年1月6日 12時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！4ページ目“振れられる”じゃなくて､“触れられる”じゃないですか？ (2021年1月6日 11時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年11月22日 1時
