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自覚してしまったが最後、もう須貝さんにどんな顔をして会えば良いかわからない。
あんなに嬉々として返していたメッセージも、手が震えてうまく打てない。
情けなさすぎる。というか、今までよく自覚してなかったな。自分で自分に呆れる。
深くため息をついて、改札を背に家へと歩き出した。
歩きながら思い出されるのは須貝さんの顔。ジムで会ったときの笑顔だったり、トレーニング中のひたむきな表情だったり、夜道で助けに来てくれた時の真剣な顔だったり。
いろんな表情が頭の中をエンドレスでリピートしている。
このまま家に帰っても悩みこむだけだ。少し気分転換をしようと、コンビニに立ち寄ることにした。
帰路の途中にあるコンビニに入ると、前にここで須貝さんに助けてもらったことを思い出す。
よくあの時会えたな。あの時からきっと好きだったんだ。と、気がつけば須貝さんのことしか考えていない自分。
流石にもう偶然会うことなんてないだろう。あったら運命を感じてしまうかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながらコンビニを意味もなく一周してみるが、須貝さんはいなかった。
「ですよね…」
誰もいない店の隅で1人呟き、飲み物の棚へ向かう。とりあえず、適当に炭酸飲料でも買って帰ろう。
なんの飲み物を買うか、うろうろしていると、不意に後ろから声をかけられた。
「Aちゃん？」
振り返ると、まさか、須貝さんがいた。
一瞬自分の目と耳を疑った。つい先ほど、もし2回目の偶然があったらなんて考えていた張本人が目の前にいる。
流石にこれは、本当に運命を感じてしまうかもしれない。
「須貝さん」
「今帰り？」
「はい。須貝さん帰ったんじゃなかったんですか…」
須貝さんはさっきジムでトレーニングを終えて、もう何時間も前に帰って行ったはずだ。
「ちょっとプリントアウトしたいものがあって」
そう言いながら持っている紙を振って見せる須貝さん。
「それ、買うの？」
須貝さんはショーケースからペットボトルを一本取り出しながら私の手元に握られている炭酸飲料を見やった。私が黙ってうなずくと、須貝さんは私の手からするりとそれを抜き取る。
「じゃあ、バイトお疲れ様ってことで」
レジを指差しながら私を置いてそちらへ歩いていってしまう。
偶然出会った時点で、運命かもなんて思っているところに、颯爽と奢ってくれるなんて、私はすでに乙女思考全開だ。
きっと今までだったらなんでもなかった行動も今となっては一つ一つがときめいてしまう自分がいる。
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ゆきんこ(プロフ) - こんばんは。コメント失礼します！ こちらの作品最っ高で読みながらニコニコしてました！ 完結おめでとうございます！！ (2022年6月3日 21時) (
レス) id: 83dccc5424 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - りみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！力になります！ (2021年1月15日 15時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - 毎回ドキドキしながら読んでおります^^*次回の更新も楽しみです！ (2021年1月15日 2時) (レス) id: 8d6821c78b (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 緋歌梨さん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました。誤字が多く読みづらくて申し訳ないです… (2021年1月6日 12時) (レス) id: 40ccbc89c0 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！4ページ目“振れられる”じゃなくて､“触れられる”じゃないですか？ (2021年1月6日 11時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2020年11月22日 1時
