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「お初にお目にかかります。
わたくし、火の国の第1王子、
イ・ヒョンシクと申します。」
ー 冷たい目。
ー にやっと笑う口元。
ぞっとして鳥肌がたつ。
こんな人と婚約なんて絶対にしたくない。
『はじめまして。
私は、花の国の第1王女、
キム・レイナと申します。』
そんな気持ちとは真逆に、
笑顔を向ける私。
「いやあ、こんなに綺麗なお方だったとは。
…初夜が楽しみですねえ。」
上から下まで舐めるように私のことを見る。
気持ち悪い。
すごく嫌だ。
こんな人とこれから一緒にいないといけないなんて。
コツ…コツ…コツ…
少しずつ私の方に歩いてくる。
私は彼が歩いてくるたびに、
少しずつ後ろへ下がる。
ピタッ
『!!』
後ろに冷たい壁の感触。
それはこれ以上後ろへ下がれないことを示している。
「婚約の儀が始まる前にキスをしても、
別に問題ないですよねえ。」
ドク…ドク…ドク…
逃げたい。
私の心が必死にそう叫んでいる。
誰か、助けて…
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作者名:しろ | 作成日時:2020年10月19日 0時