5話 ページ7
閉店の作業を早急に済ませ、寮服を着直して、次の仕事へ向かう準備をする。
｢さて、もう一仕事。行きますよ。｣
｢はぁーい♡今日はぎゅーってしていいかなぁ？｣
｢それは、相手様次第ですよ。フロイド。｣
『大人しくしてくれればいいけどね。』
｢Aも楽しそうだねぇ？｣
『そうかな？』
もう一仕事。
それは、取引先の相手様との交渉が失敗したため。
相手様に、ちょっとした対価をいただきにいく。
数分後
｢君、何故昨日は呼び出しを無視したんです？ご自分がどういう立場か、わかってらっしゃらないようだ。｣
｢き、昨日はちょっと腹の調子が悪くて…｣
｢本当に？嘘をつくとためになりませんよ｣
｢本当です！本当に腹が痛くて…｣
そういいながら戸惑うお客様。
そんな見え見えな嘘はつかない方が、君のためだよって眼差しで見つめる。
｢ジェイド。彼がもう少し素直にお話できるようにしてあげてください｣
｢わかりました。……ふふ、そんな怯えた顔をしなくても、痛いことはしませんよ。｣
嘘なんてついたところで、ジェイドくんには適わないのに…
｢さぁ、こちらを見て ……ショック･ザ･ハート｢かじりとる歯｣｣
｢ひぃっ……い、今のは一体！？｣
｢では、もう一度聞きますね、昨日、貴方は何故アズールの呼び出しに応じなかったのですか？｣
｢それは……｣
ここから述べられることは、全て真実…
ものによっては……許してあげることはできないなぁ。
うちの寮長…アズールくんの慈悲の心を踏みにじるやつは、何人たりとも許しはしない。
｢もう腹黒インチキ野郎のアズールに、好き勝手こき使われるのが嫌になったからだよ！｣
カチン……
｢腹が痛いなんて、仮病に決まってるだろ？…………って、なんだ！？く、口が勝手に本音を……あっ！｣
｢ほう、なるほど。それが貴方の本当のお気持ちですか。｣
『ふーん…。』
｢あぁ……なんてことだ。とてもショックです。海の魔女の如く深い慈悲の心でもって、君の願いを叶えてあげたのに。｣
『そんな、寮長に対して腹黒インチキ野郎とは……』
僕は完全に頭に来ていた。
たまに、こういう困ったお客様が多い…。
今回も手加減はしてあげられそうにないな。
｢ご、ごめんなさい！違うんです、今のは！｣
｢フン。取り繕ってももう遅い。フロイド、A出番ですよ。｣
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作者名：雨鯱 | 作成日時：2020年8月29日 21時
