【zm】命乞いしたらペットにされた (ページ5)

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｢一時期話題になったけどその後それを実際に試す奴はおらんかった。さすがにそんな阿呆な奴はおらんかったんやろな…でも俺はそれを確かめてみたいんや｣

｢ま、ちょっと脱線したけどニンゲンってのは本来俺たち亜人に飼われてペットにされる、言わば奴隷みたいな存在なんやで｣

奴隷

あまりにも馴染み無い言葉で、一瞬、理解が出来なかった。

しかし人間の脳というものはしっかりしているもので、理解してしまった瞬間内側からガラガラと音を立てて希望が崩れていくのを感じた。その代わりとでも言うように絶望が私の目の前に光のない闇となって襲いかかる。

＿やめて！私のライフはもうゼロよ！

ふざけて気を紛らわすことしか出来ない。正直全く笑えない。

｢さて、もうええか？じゃあお待ちかねの選択タイムや、はよせんなんと手が滑って殺しちゃうかもなァ…｣

どこから取り出したのか、ゾムは少し大振りなナイフを手に持ち、それをクルクルと長い指で弄んでいた。

『ひっ、ぁ…』

恐怖で喉が締まり、声が上手く出せない。一方ゾムはというと息を荒らげ、翠の美しい虹彩をどろりと濁らせていた。

『い、いきっ生きられるのならばペットでも何でもか、構いません。…っ助けて下さい！』

噦って突っかえながらも、土下座のように額を地面に着け哀願する。他所から見たら無様に生にしがみつく汚らしい奴隷の様に見えるだろうか。だが今はもうそれでよかった。

｢助けるって言っても、なぁ。俺はウワサ確かめれたらそれでええし、｣

『ぁ…、っ協力します！なっ、何でも好きにしてもらって構いません、なので、｢今自分の口で、しっかり、何でも、好きにしていい、って言うたな？｣あ…は、はい』

確認されて自分の失言に気づいた。流石に何でもは不味かったかもしれない。

｢じゃあ契約成立や。今すぐ食べられへんのは惜しいけどそれ以上に楽しめそうやし｣

ゾムは案外すんなりとナイフを仕舞った。元からこんな所で殺すつもりはなかったのだろう。

あーでも、とゾムは今まで濁っていた虹彩をギラリと光らせ、

｢勿論お前から言い出したんやから途中で逃げ出す、なんて事しようもんなら、…分かっとるよな？｣

今までのヘラヘラとした雰囲気はどこへやら、相手に否応言わせぬ圧をゆらと滲ませた。改めて私はこの男に命を握られているのだと悟った。私が生きるも死ぬもこの男の気分次第である。

『…肝に、銘じます』

私は今日からこの男の、玩具(ペット)である