157話 「命懸け」 ページ7
Aはブレザーを脱ぎネクタイを外すと指定ジャージを羽織って教室に戻った。
業「あれ、着替えたんだ」
ブレザーを腕に戻ってきたAを見て業がそう言うが、彼は着替えていない。
隣に立って生徒たちに目を向ける。
律の液晶画面に表示された用語は奥田が解説してくれた。
奥田「宇宙空間での実験で、触手生物の爆発リスクはサイズと反比例することが判明した。
大きいほど安定し、小さいほど高確率で爆発するのだ。小さなネズミとは違い、人間代のやつが暴走、爆発する確率は思われていたより遥かに低い」
片岡「えぇ?それって……」
奥田「さらに、以下に示す薬品を投与し、定期的に全身のケイ素化合物の流動を促す。分かりやすく言うと凝りを解すことで、さらに飛躍的に暴走リスクが下がると判明」
磯貝・前原「凝り?」
奥田「以下の条件を満たす時、爆発の可能性は高くとも1%以下」
「1%……?」
奥田「恐らくは、爆発より先に他の細胞が寿命を迎え90年以内に穏やかに蒸発するだろう」
驚きに満ち溢れてる中、寺坂が画面を指さして問いかける。
寺坂「この薬品ってのを作れんのかよ?」
奥田「割と簡単です……って言うか私、前にこれとほとんど似た薬を作ったことが……」
「「あれかよ!!」」
殺せんせーの液状化。その時Aは居なかったが業から後で聞いた。
続けて村松が簡単にと口にしているがAはそう思わない。それは茅野もそうだったようで。
茅野「ううん、そんな簡単な道じゃなかったと思う」
声をあげた茅野に全員が目を向ける。
渚「茅野……」
茅野「破壊生物になりかけた殺せんせーをお姉ちゃんが命懸けで止めたから。
殺せんせーがお姉ちゃんの跡を継いで命を懸けて私たちに授業をしてくれたから。
みんなが命を懸けなかったら薬も多分作られてなかったし、宇宙まで答えを探しに行けるクラスには育たなかったよ」
茅野のその言葉に渚は微笑む。
そして嬉しそうに真っ先に声をあげたのは杉野だった。
杉野「何にせよ、1%以下じゃ無いも同然!
殺さなくても地球が爆発しないで済むぞ!」
やったー!と生徒たちは隣に居た生徒に絡んで嬉しそうに手を挙げた。
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お - えまって?!最高すぎません?!この物語は主人公である夢主ちゃんが書いた本当のお話…ってコト?! (12月19日 1時) (レス) @page50 id: 0af6726044 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 暗殺教室に再熱し、勢いで2日で読みきってしまいました。あたたかい、素敵な物語をありがとうございました。少しでもこの物語が多くの人の心に届きますように。 (12月2日 19時) (レス) id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
霞 - 思って今よりもずっとこの作品に引き込まれました。主人公の過去はかなり辛くて後半は大半泣いてしまいました。業くんとの関係性もとても良かったです。原作に沿うように書くのは大変だったかと思いますが、本当にとても良い作品でした!本屋で売れるぐらい良かったです (2023年1月17日 21時) (レス) @page50 id: a9816fab8f (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - この作品に出会えて本当に良かったです。主人公の過去は想像以上に辛いもので涙なしでは読めませんでした。そして業との関係がとても好きです。2人が、いや4人が末長く幸せに生きていけるように願います。本当にありがとうございました! (2023年1月13日 1時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 本当凄い。無料で見るのが勿体無いくらいすごい。一冊の本を見てる気分でした!!!素敵な作品を作ってくださりありがとうございます (2023年1月8日 22時) (レス) @page50 id: 963d301a2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2022年12月17日 12時