【暗殺教室】目立たない彼女・四時間目

197話　「また君に会える日まで」 ページ47

数年後。

業と渚は、椚ヶ丘の旧校舎にやって来て、思い出話に浸っていた。

四月から三月まで、たくさんのことがあった。


二人は職員室から教室に戻ると、そこには思わぬ人が立っていた。


業「A、来てたんだ」

A「うん」

渚「五十山田さん、久しぶり。元気にしてた？」

A「……えぇ。
二人の話は終わった？」


Aは微笑んで問いかけた。

先ほど業から聞いた話、あまり動けないと聞いていたが。

理由はわからなかったが、会ってみて驚いた。


渚「あれ、そのお腹……」

A「……うん」


Aはお腹を撫でた。

そのお腹は、最後に会った時より目立っていて。

だが太っていると言うよりは、そこに何かが入っているような。


渚「え！おめでとう！」

業「ありがと〜」


渚が業に目を向けると、そこには業が黒板に落書きしていた。

ナイフが頭に刺さって慌てる殺せんせーを。


渚「カルマ……」

業「いーじゃん、どうせ明日掃除すんだし」

渚「カルマは来ないけどね！」


三人はその落書きを見つめて、少ししんみりする。


業「なんか、もう見返すことができないのが悔しいね。
それって勝ち逃げだよ、殺せんせー」

(「ヌルフフフフフフ」)

「「！？」」


思わぬ声に三人は顔を見合わせて、声を出して笑った。


業とAは教室の後ろを見ていると、渚が殺せんせーの場所に立っていた。


業「ん？」


渚は被っていた帽子を置いて先生の真似事をしていると、引き出しに何かが見えた。

それは出席簿で。


渚(借りてくね、殺せんせー)


出席簿を手に取り微笑んでいると、二つの音が響いた。

そこに目を向けると、あの頃のように座っている二人が居て。


業「負けるなよ、先生」

A「負けないで、先生」


二人は同時に渚に言った。

渚はその言葉が胸に響き、逆に言い返す。


渚「当然！
カルマも、五十山田さんも！」


明日経済産業省での面接を控えている業は、不意を突かれて驚いた。

だが、それだけで済む業じゃない。


業「バーカッ！」


子供のような表情で言い返すと、Aが立ち上がる。


A「そろそろ帰ろう」

業「そうだねぇ」

渚「うん」


三人が教室から出ようとした時、渚はふと黒板に文字を書き足した。


「また君に会える日まで」



渚が錠前を閉じると、業は姿勢を整えて頭を下げた。

それに続いて渚とAも。


(僕らはE組。
僕らはずっと暗殺教室の生徒たち。
始業のベルは明日も鳴る)

198話　「祝福」→←196話　「三日月」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す