193話 「希望」 ページ43
その後、生徒たちは殺せんせーの面影を求めて教室に戻った。
教室に戻ると、全員の机の上に卒業証書と卒業アルバム、それと、生徒それぞれのアドバイスブックが置いてあった。
あの後、レーザーは撃たれたらしいが、生徒たちにとってそれはどうでもよかった。
その後現れた現場検証部隊は、烏間が外で相手を済ませてくれ、校舎内は生徒だけにしてくれた。
殺せんせーが作ってくれた凄まじく分厚いアドバイスブック。
冒頭は漫画から始まるものの、読み進めていくと、こと細かく記載されているそれに嫌気が差した生徒たち。
気がつけば、みんな、涙を忘れてぐっすり眠っていた。
―――朝、目覚めて外を見ると、早咲きの桜が小さく、強く揺れていた。
──────────
烏間「ターゲットは消え、地球は救われた。この一年、本当にご苦労だった。
君たちには納得できないことがあるかもしれん。
暫くは注目されて大変だと思う。機密事項の口止めなども頼むことだろう。もちろん、できる限り君らを守るが。
俺から先に謝らせてくれ」
烏間がみんなの前で頭を下げた。
全員驚くが、誰も気にしていない。
前原「烏間先生!平気っすよ」
前原がそう声をかけると、烏間は頭を上げた。
前原「俺らも上手いこと平穏に収まるよう努力するから」
岡野「烏間先生を困らせたくないしね」
代表して二人がそう言う。
それはみんなの気持ちだ。
片岡「その代わり、みんなの希望があるんですが」
と、片岡が立ち上がった。
彼女の言葉に、烏間とイリーナが首を傾げる。
片岡「今日の椚ヶ丘の卒業式には出させてください。
本校舎との戦いの日々も、殺せんせーと作った大事な思い出だから」
烏間「あぁ。手配しよう。そのために俺はここに居るのだからな」
烏間の言葉を聞いた片岡と磯貝は視線を交わして頷いた。
続いて磯貝も立ち上がる。
磯貝「全員、起立!」
その声にみんなは立ち上がった。
烏間とイリーナは思ってもない彼らの行動に目を見開く。
打ち合わせなどしていない。
だが全員は揃えて頭を下げる。
磯貝「烏間先生!ビッチ先生!
本当に色々教えていただき、ありがとうございました!」
「「ありがとうございました!」」
出会った頃とは見違えるほどに逞しく成長した生徒たち。
話しながら教室を出ていく生徒たちに、烏間とイリーナは微笑み、彼らの成長を喜んだ。
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お - えまって?!最高すぎません?!この物語は主人公である夢主ちゃんが書いた本当のお話…ってコト?! (12月19日 1時) (レス) @page50 id: 0af6726044 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 暗殺教室に再熱し、勢いで2日で読みきってしまいました。あたたかい、素敵な物語をありがとうございました。少しでもこの物語が多くの人の心に届きますように。 (12月2日 19時) (レス) id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
霞 - 思って今よりもずっとこの作品に引き込まれました。主人公の過去はかなり辛くて後半は大半泣いてしまいました。業くんとの関係性もとても良かったです。原作に沿うように書くのは大変だったかと思いますが、本当にとても良い作品でした!本屋で売れるぐらい良かったです (2023年1月17日 21時) (レス) @page50 id: a9816fab8f (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - この作品に出会えて本当に良かったです。主人公の過去は想像以上に辛いもので涙なしでは読めませんでした。そして業との関係がとても好きです。2人が、いや4人が末長く幸せに生きていけるように願います。本当にありがとうございました! (2023年1月13日 1時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 本当凄い。無料で見るのが勿体無いくらいすごい。一冊の本を見てる気分でした!!!素敵な作品を作ってくださりありがとうございます (2023年1月8日 22時) (レス) @page50 id: 963d301a2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2022年12月17日 12時