【暗殺教室】目立たない彼女・四時間目

188話　「殺し時」 ページ38

(僕らは常に守られていた。
厳しいけど、同じくらい過保護で、先を生きて学んできた、先生によって)



渚は背後から茅野の肩を撫でて安堵する。


渚「茅野、助かってよかったよ！」

茅野「なぎさっ、へっくしゅ！」


茅野は寒さからくしゃみが出て、何事かと思った。

が、自分の今の姿を見て絶叫する。


茅野「私っ、なんて格好を〜！」


それに気づいた瞬間、渚、木村、菅谷は顔を逸らした。

岡島は片岡に無理矢理逸らされていたが。

そして真正面からは糸成が茅野を見つめる。


糸成「…………」

茅野「な、なに……？」

糸成「可哀想」

茅野「なにが！？」

前原「いいじゃねぇか。
殺せんせー、髪まで結ってくれたんだぜ」


前原は自分の上着を茅野に羽織らせる。

そういうところはイケメンなんだが。


茅野「ありがとう。服から直してほしかったよ……」

岡島「いやいや〜、あの手厚い殺せんせーの治療じゃ、ちょっとぐらい巨乳になってるかもしれねぇぞ！」

矢田「そうなの？殺せんせー」


先ほどまでの緊張感が冗談のように見える。

和気あいあいと殺せんせーに目を向けると、殺せんせーはゆっくりと仰向けに倒れ込んだ。


「「！？」」

殺せんせー「ふぃ〜〜、疲れました」


(倒れ込んだ殺せんせーは、いつになく満足気で、いつになく弱々しかった)


殺せんせー「皆さん」

「「っ」」

殺せんせー「暗殺者が瀕死のターゲットを逃してどうしますか」

「「！？」」


生徒たちは気づく。

今の状況に。


殺せんせー「わかりませんか？殺し時ですよ」


ただ優しい声で殺せんせーは告げる。

まるで、いつもの授業のように。


渚「っ」

殺せんせー「楽しい時間は」

業「……」

殺せんせー「必ず終わるものです」

A「……」

殺せんせー「それが、教室というものだから」


生徒たちは殺せんせーの言葉に、空に浮かぶレーザーを見上げた。


(膨れ上がっていくレーザーの光は、予定に変更が無いことを雄弁に、残酷に物語っていた。
僕らに、迷っている時間はなかった)


残り時間、28分。

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