186話 「治療」 ページ36
渚「殺せんせー、茅野が」
ボロボロになりながらも戻ってきた殺せんせーに、茅野の体を見せた。
Aは茅野の血がついた手を握りながら涙を堪える。
A「茅野さん……」
業「……」
業はAの肩を擦りながら顔を落とす。
生徒たちから嗚咽が聞こえる。
烏間やイリーナも暗い表情だ。
千葉「寝かせてあげよう」
殺せんせー「下ろさないで渚くん。
あまり、地面の雑菌に触れさせたくない」
渚「殺せんせー……」
生徒たちが殺せんせーを見上げる。
殺せんせー「皆さん、失った過去は決して戻ることはありません。
先生自身も、たくさんの過ちを犯してきました。
ですが、過去を教訓に繰り返さないことはできます」
そう言いながら、すごく細い触手が、なんらかの赤く丸い結晶を見せる。
すごく戸惑った渚は問いかける。
渚「なに、これ……」
殺せんせー「茅野さんの血液や体細胞です」
「「！？」」
殺せんせー「地面に落ちる前に全て拾い、圧縮空気で作った無菌膜に保管しておきました」
渚「ばっ、バトル中にそんなことを！」
殺せんせー「君たちを守る触手だけは、戦いに使わずに温存していましたから」
生徒たちが見守る中、殺せんせーは渚から茅野を受け取り、治療を始めた。
今から一つ一つ、細胞を繋げていくらしい。
より早く。
より精密に。
殺せんせー「この一年、ずっと能力を高めてきました。
あの時と同じことがあったとしても、同じ悲劇には絶対すまいと」
修復できない細胞もある。
そこへは自分の粘液で穴埋めするらしい。
殺せんせー「数日の内に彼女自身の細胞が再生して、置き換わるでしょう」
「「……」」
殺せんせー「くっ、血液も少々足りません！AB型の人、協力を！」
言われる前に、業と糸成、Aは腕を出した。
殺せんせーは触手を使い、三人から茅野に輸血する。
殺せんせー「中村さん！さっきのバースデーケーキを持ってきて、先生の口に！」
中村「はぁ！？
土まみれでぐっちゃぐちゃの生ゴミだけど」
殺せんせー「エネルギーの補充が必要なんです！
戦闘中もずっと食べたかったし、あぁもう！三十分ルールです！」
中村「三秒でしょ！？」
何かを言い合いながらも中村はケーキを持ってきた。
また別の触手を使い、殺せんせーは美味い美味いと食べる。
―――糸を一切使わず、跡を一切残さず、傷口が塞がっていく。
そして、傷口の治療は済み、あとは心臓が動くのみとなった。
187話 「宝物のような一年の中で」→←185話 「対二代目死神・柳沢(4)」
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お - えまって？！最高すぎません？！この物語は主人公である夢主ちゃんが書いた本当のお話…ってコト？！ (12月19日 1時) (
レス) @page50 id: 0af6726044 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 暗殺教室に再熱し、勢いで2日で読みきってしまいました。あたたかい、素敵な物語をありがとうございました。少しでもこの物語が多くの人の心に届きますように。 (12月2日 19時) (レス) id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
霞 - 思って今よりもずっとこの作品に引き込まれました。主人公の過去はかなり辛くて後半は大半泣いてしまいました。業くんとの関係性もとても良かったです。原作に沿うように書くのは大変だったかと思いますが、本当にとても良い作品でした！本屋で売れるぐらい良かったです (2023年1月17日 21時) (レス) @page50 id: a9816fab8f (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - この作品に出会えて本当に良かったです。主人公の過去は想像以上に辛いもので涙なしでは読めませんでした。そして業との関係がとても好きです。2人が、いや4人が末長く幸せに生きていけるように願います。本当にありがとうございました！ (2023年1月13日 1時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 本当凄い。無料で見るのが勿体無いくらいすごい。一冊の本を見てる気分でした！！！素敵な作品を作ってくださりありがとうございます (2023年1月8日 22時) (レス) @page50 id: 963d301a2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2022年12月17日 12時
