153話 「自由研究(2)」 ページ3
こうしてE組の前代未聞の自由研究が始まった。
殺せんせー「研究データを積んだ帰還船は太平洋上に着水。
万が一ターゲットの超生物に奪取されるのを防ぐため開封せず帰還船ごと研究室に搬入する、と……。
とても賢い警戒態勢です。先生、あまり重いものは持てませんから。元の帰還船を金庫代わりにされると盗みようがありません」
岡野「だから宇宙にある内に見せてもらう、と。
でも、本当に日本の技術で有人ロケットなんて飛ばせるの?」
殺せんせー「それだけの技術信頼度は十分あります。
先生の影響で、開発を早めたのかもしれませんね」
パワーが無いことと、水が苦手な弱点。
当然、首脳たちが知らないわけが無い。
あれこれ話を進めて、まとめて行くと全員が納得する答えになり、磯貝が教壇に立った。
決めることの残りは、行きたい人だけ。
磯貝「計画は整った。あとはいよいよ実行だけど、ロケットに乗れるのは二人だけだ。
行きたい人!」
はーい!
と、業以外の男子全員が手を挙げた。
磯貝「ん〜……だよなぁ」
中村「おーおー、男子だねぇ」
苦笑いの磯貝にみんなの様子を見て笑う中村。
Aは思ったより行きたがっている生徒の多さに驚いた。
A「カルマは行かないんだ」
業「こう言うリスキーなのは嫌いなの、知ってるでしょ」
小声で話していると、殺せんせーが告げる。
殺せんせー「まだ一度も成功していない試験機ですが、それでも乗りたい人!!」
半脅しの一言に、糸成以外が手を下げた。
殺せんせー「デスヨネ」
A「ふっ」
業(最近Aは随分笑えるようになった。
いや、笑おうとしているのか。無理にでも)
Aは業の心情に気づくことなく、頬杖をついてクラスメイトを見つめる。
糸成「それでも俺は乗りたい。
ロケットなんて、メカ好きにとっては垂涎物だ。けど、今回だけ譲ってやる渚、業」
A「ふふっ」
業「はぁ?俺、こう言う他人頼みのリスキーな挑戦嫌なんですけど。
寺坂とダミーを乗せればいいじゃん。仮に落ちても損害ゼロだし」
寺坂「あぁ!?五十山田!おめぇ無言で笑ってるの知ってっからな!?」
A「ご、ごめん。
想像したら面白くて」
業「どっちが?」
A「どっちも」
後ろの方で笑っているAに、業と寺坂が苛立ったのは内緒だ。
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お - えまって?!最高すぎません?!この物語は主人公である夢主ちゃんが書いた本当のお話…ってコト?! (12月19日 1時) (レス) @page50 id: 0af6726044 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 暗殺教室に再熱し、勢いで2日で読みきってしまいました。あたたかい、素敵な物語をありがとうございました。少しでもこの物語が多くの人の心に届きますように。 (12月2日 19時) (レス) id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
霞 - 思って今よりもずっとこの作品に引き込まれました。主人公の過去はかなり辛くて後半は大半泣いてしまいました。業くんとの関係性もとても良かったです。原作に沿うように書くのは大変だったかと思いますが、本当にとても良い作品でした!本屋で売れるぐらい良かったです (2023年1月17日 21時) (レス) @page50 id: a9816fab8f (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - この作品に出会えて本当に良かったです。主人公の過去は想像以上に辛いもので涙なしでは読めませんでした。そして業との関係がとても好きです。2人が、いや4人が末長く幸せに生きていけるように願います。本当にありがとうございました! (2023年1月13日 1時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 本当凄い。無料で見るのが勿体無いくらいすごい。一冊の本を見てる気分でした!!!素敵な作品を作ってくださりありがとうございます (2023年1月8日 22時) (レス) @page50 id: 963d301a2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2022年12月17日 12時