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163話 「ついていく」 ページ13

四人で駅に着いた。

Aの背中を見た業は、Aの肩を撫でて足を止めた。


業「ねぇ、」

父「どうした?」

業「今日、Aを家に泊めてもいいですか?」


父は振り返る。

そこには俯いたままのAと、それを支えている業が居て。

母も振り返ると、何度も頷いた。


母「一緒に居てあげて」

業「ありがとうございます」


業は頭を下げると、両親とは違う方向に向かって歩き出した。

先ほどからスマホがバイブで通知を知らせている。きっと、先の件についてだろう。


A「カルマ、ありがとう」


そう言ったAは途中にある公園に入っていったので業も中に入る。


A「やっと終わったよ」


ブランコに飛び乗ったAは嬉しそうにどんどん高くまで漕ぐ。


A「ずっと考えてた!
どうやったらお母さんたちとあの子を繋げられるのかなって」

業「うん」

A「やっとだよ!!」


普段テンションが低いAが、ここまでハイになってるのは久々に見る。

まるで、茅野の触手を思い出す。


A「あの時できなかったこと!それがさ、もう少しで叶うの」


ずっとAが苦しんでいるのは知っていた。

だからこそ、春斗を助けると奮闘していたことも。


A「あの子があの時私をお姉ちゃんと呼んでくれて良かったよ。
じゃなきゃ両親だって知ること無かったし、弟が苦しんでることに気づくこともなかった」


そう言ってAはブランコから飛び降り、見事業が凭れている柵に着地した。

身体能力は、この教室を通して一段と高い。


業「A、どうしたの?」

A「何が?」

業「すごくテンション高いじゃん」


Aは満面の笑みを業に向ける。

逆にそれが心配だ。


業「A」

A「私、人を殺すの、怖くなかった。
私の出方次第で、春斗のお父さんとお母さんを殺すことができる。
それに対して、何も怖くなかったの」

業「A、落ち着いて。A」


業は興奮しているAの両手を握り声をかける。


業「A、俺が居るから。俺を信じて。ね?」

A「……」

業「俺がいつもみたいに、Aをそっちに行かせないから」


Aの両手を握って、業はAの目線に屈み、Aを見つめる。

すると、Aは頷いた。


A「ありがとう、カルマ……」


そしていつもの様に気を失うA。

Aを抱きとめた業は、Aを撫でる。


業「Aについてくよ、俺は」


―――地獄の果てまででも。

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- えまって?!最高すぎません?!この物語は主人公である夢主ちゃんが書いた本当のお話…ってコト?! (12月19日 1時) (レス) @page50 id: 0af6726044 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 暗殺教室に再熱し、勢いで2日で読みきってしまいました。あたたかい、素敵な物語をありがとうございました。少しでもこの物語が多くの人の心に届きますように。 (12月2日 19時) (レス) id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
- 思って今よりもずっとこの作品に引き込まれました。主人公の過去はかなり辛くて後半は大半泣いてしまいました。業くんとの関係性もとても良かったです。原作に沿うように書くのは大変だったかと思いますが、本当にとても良い作品でした!本屋で売れるぐらい良かったです (2023年1月17日 21時) (レス) @page50 id: a9816fab8f (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - この作品に出会えて本当に良かったです。主人公の過去は想像以上に辛いもので涙なしでは読めませんでした。そして業との関係がとても好きです。2人が、いや4人が末長く幸せに生きていけるように願います。本当にありがとうございました! (2023年1月13日 1時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 本当凄い。無料で見るのが勿体無いくらいすごい。一冊の本を見てる気分でした!!!素敵な作品を作ってくださりありがとうございます (2023年1月8日 22時) (レス) @page50 id: 963d301a2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2022年12月17日 12時

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