*冷たい/リク ページ44
・
気温が氷点下を下回るほどの寒い日。
ドラマの撮影が夜九時から行われた。
倉庫街で行われてる撮影で、
とりあえず待機って言われたから倉庫に居るんだけど。
寒かったらこっち居といて言われたから。
そう言われたのは良いけど、
ここで問題が発生。
『開かない』
まさかの閉じ込められました。
結構ごたついてるシーンの撮影だし、
もしかしたら私のシーンまで辿り着かないかも、って
言われてしまうくらいには共演者のミスが多かった。
悪いとかじゃなくて、純粋に寒すぎて集中力が落ちてるだけ。
だから別にそれは良いんだけど、
口頭で言われたまま「A-11b」って書かれた倉庫に来て、
待ってたらまさかの開かない事件に遭遇。
『……倉庫の中だからか?
電波無いんだが?』
まさかの電波が届かなくて、
外への連絡も取れないし。
入る前に気温確認した時点でマイナス3度だったんだから、
これってもしかしなくても、
『詰みじゃね?』
発見されるのが先か、
私がくたばるのが先か。
そのレベルまで来てしまった。
ヤバいって本当に。
『ドッキリにしても、笑えないんだけど』
これでドッキリだったら、私はどう反応するのか。
けどドッキリの可能性も低いんだ。
このまま孤独死と言うやつにならないよう願いながら、
どうにか体温を逃がさないようにしてた。
ただツアー真っ只中というのもあり、
体脂肪率を結構落としてたから、さすがにやばそう。
お陰で体温が低いのが続いてたから、
正直笑えない。
『ヤバいって、マジで』
撮影が続いているであろう現状で、
連絡が先に繋がるか、向こうが気づくのが先か。
どうしようと考えてた時だった。
『電話……もしもし』
着信が入って、壱馬から。
滅多に電話しないから何かと思ったけど。
壱馬【ごめんな撮影中。
今大丈夫?】
『だいじょうぶじゃない……』
壱馬【A?】
『たすけて、たすけてかずま』
壱馬【どないした、A!】
『そうこ、あかない。
とじこめられたっ』
壱馬【北人、おい起きろ北人!
すぐマネージャーに電話して!Aがっ】
最悪なことにそこで電話が切れた。
なんでか確認するとスマホの充電切れ。
『けど、伝えられたから、もういいや』
ホッとした私は、意識を手放した。
365人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時