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翌日、メンバーを巻き込んでまで、
俺はこれから、Aにとって酷なことをさせる。
これに関しては、医者にも許可を取ったし、
何より、Aをこんな目に遭わせた人を捕まえる。
Aが安心して戻ってこられる様に。
『ねぇどこ行くの？』
壱馬「んー？階段」
『階段？なんで』
壱馬「試したいことがあるから」
海青もAのためならと堪えてここに来てて、
俺は記憶喪失のAの反応に賭けることにした。
壱馬「こっから先階段や」
『っ、ねぇ本当にここ行かなきゃダメ？』
壱馬「A、先に降りてや」
『無視しないでよ！』
壱馬「ここには何も無い。
背中から押す手も無ければ、俺らはお前を守る。
それでも、ホンマにここ降りれんか？」
あの時と同じように非常階段の扉を開けて、
Aを前に歩かせる。
でもAの体は覚えてるから、
どうしても苦しんでしまう。
壱馬「ほな行こうや、リハビリと思ってさ」
『っ！やめて！！』
Aの背中を少しだけ押して、
落ちてもすぐ引っ張れるように気を張りながら、
Aの様子を見てた。
するとAは案の定、
手すりに掴まりながら大声を上げた。
壱馬「これで確定やな、A。
記憶飛ばしてるかもしれんけど、お前は誰かに突き落とされた。
ちゃうか？」
『っ……』
壱馬「頼む、苦しいのは分かる。
それでも、思い出してくれんか？」
『……っ』
壱馬「これからもAが一緒に頑張る為にも。
その人を必ず捕まえるから」
手すりに掴まってしゃがみこんだAと、その後ろに座った海青。
二人の目には涙が溜まっとった。
そして、ゆっくりと話し出す。
『落とされた、あの……人に』
壱馬「……そうか。
とのことです、山彰さん」
彰吾【おん、こっちでも本人に言質取れたわ。
もう良いだろ】
電話切った俺は、Aの正面にしゃがんで、
震えてるAの手を取る。
壱馬「電話の向こうで、山彰さんと陸さんが動いてる。
Aをこんな目に遭わせた人、俺らは誰一人許してへん」
『いつ、突き落とされたって気づいたの』
壱馬「ノックされた時のAの反応。
そこから怪しんでた。
きっと、ノックされてその移動中に何かあったんやろうって」
そう言うとAは笑ってた。
涙を流しながら。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2024年3月19日 15時
