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*▽ ページ40










メンバーには心配かけたくなくて、
誰にも不安を打ち明けられなかったけど、
不思議と臣さんの前では何も我慢できなかった。





だから年甲斐も無く号泣してしまったけど、
それでも臣さんは俺を離すことなく、
抱きしめてくれて、頭や背中を撫でてくれてた。







壱馬「っ」




広臣「ふっ、落ち着いた?」




壱馬「はい、すみません……」




広臣「我慢するより全然良いよ。
俺で良ければいつでも話聞くから、抱え込むなよ」




壱馬「はい」







俺は涙を拭って、臣さんを見ると、
臣さんは優しく俺の頭を撫でてくれて。



普段年上的なポジションの俺でも、
この瞬間は気楽に居られる。







壱馬「Aに会う前に、臣さんに会えてよかったです。
共倒れになるとこだったかもです」




広臣「ははっ。
それは無いよ、お前らは必ず、どっちかが支え合ってるから」




壱馬「そう、ですかね」




広臣「おう」







実際二人同時に倒れたことは無い。



どっちかが倒れてる時こそ自分が踏ん張る
って意識が強すぎるから。







壱馬「またAのことが分かり次第連絡します」




広臣「おう」




壱馬「夜も遅いですけど、泊まっていきますか?」




広臣「大丈夫、家帰るよ。
壱馬はとにかくゆっくり休むこと。

いい?」




壱馬「はい」




広臣「またなんかあったら連絡していいから」







じゃあな、
って言って臣さんは家を出た。




あの人に支えられた今の俺はきっと、
どんなことだってできる。











そう思った俺は日を見てAの病室にやって来た。




Aは普通に起き上がってて、
窓の外を見てた。







壱馬「休まなくてええんか?」




『あっ、えっと……川村くん?』




壱馬「普通に川村でええよ」







Aは人物は忘れてないけれど、経過は忘れてる可能性が高い。



そう言われて、まだ三日。




俺はAと出会ったあの日を思い出した。







壱馬「昔みたいやな」




『よく言われます……』







苦笑いを浮かべるA。



あの頃よりずっと大人になってて、
俺らもあのままじゃないんだって実感した。

*▽→←*▽



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作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時

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