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メンバーには心配かけたくなくて、
誰にも不安を打ち明けられなかったけど、
不思議と臣さんの前では何も我慢できなかった。
だから年甲斐も無く号泣してしまったけど、
それでも臣さんは俺を離すことなく、
抱きしめてくれて、頭や背中を撫でてくれてた。
壱馬「っ」
広臣「ふっ、落ち着いた?」
壱馬「はい、すみません……」
広臣「我慢するより全然良いよ。
俺で良ければいつでも話聞くから、抱え込むなよ」
壱馬「はい」
俺は涙を拭って、臣さんを見ると、
臣さんは優しく俺の頭を撫でてくれて。
普段年上的なポジションの俺でも、
この瞬間は気楽に居られる。
壱馬「Aに会う前に、臣さんに会えてよかったです。
共倒れになるとこだったかもです」
広臣「ははっ。
それは無いよ、お前らは必ず、どっちかが支え合ってるから」
壱馬「そう、ですかね」
広臣「おう」
実際二人同時に倒れたことは無い。
どっちかが倒れてる時こそ自分が踏ん張る
って意識が強すぎるから。
壱馬「またAのことが分かり次第連絡します」
広臣「おう」
壱馬「夜も遅いですけど、泊まっていきますか?」
広臣「大丈夫、家帰るよ。
壱馬はとにかくゆっくり休むこと。
いい?」
壱馬「はい」
広臣「またなんかあったら連絡していいから」
じゃあな、
って言って臣さんは家を出た。
あの人に支えられた今の俺はきっと、
どんなことだってできる。
そう思った俺は日を見てAの病室にやって来た。
Aは普通に起き上がってて、
窓の外を見てた。
壱馬「休まなくてええんか?」
『あっ、えっと……川村くん?』
壱馬「普通に川村でええよ」
Aは人物は忘れてないけれど、経過は忘れてる可能性が高い。
そう言われて、まだ三日。
俺はAと出会ったあの日を思い出した。
壱馬「昔みたいやな」
『よく言われます……』
苦笑いを浮かべるA。
あの頃よりずっと大人になってて、
俺らもあのままじゃないんだって実感した。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時