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*▽ ページ36









俺も海青もAの傍らで
ただただ話を聞いてた。




ゆっくり、言葉に詰まりながらも教えてくれた。










『ずっとイライラして、でも、何に対して腹立ててるのか。
そんなのも分からなくて』








『ずっと、喉が詰まった感じがして、
でも何かが詰まってるとかじゃなくて、ただ、苦しくて』








『訳が分からないくらい体は痛いし、
家にいるとアホみたいに泣き続けるし、
自分が自分じゃないみたいに体は重いし、辛いし』








『ダンスも、演技も、今までなら楽しかったのに、
やらなきゃって考えるようになったら辛くなるし……』








『それでも笑わなきゃって思ったら、誰かに会うことも辛くて』








『電気も眩しくて、スマホも見れなくて、
でも台本は覚えないといけなくて……』








『自分がどうしたいのか、何に悩んでるのか。
それすら分からなくて、ただただ、怖いの……』










涙ながらにAが教えてくれた。




今のは一部に過ぎなくて、
本当はもっとドロドロしてて……。




聞いてる側も胸を抉られるような感覚で……。







壱馬「A」




海青「Aさん……」




『ごめんね、弱くて。
今ね、グループで関わるのすら、辛いの……。
笑わなきゃって思うの』




壱馬「俺らの前では、笑いたくなかったら笑わんでもええよ。
そんなん、グループのメンバー全員が思っとる」




海青「そうですよ。Aさん。
逆にAさんが何かに苦しんでるのが、
苦しみながら笑ってる姿を見てる方が俺らは辛いっす」




壱馬「笑いたい時に笑って、笑いたくない時には笑わなくていい。
泣きたい時に泣いて、怒りたい時に怒って、それでええんよ」




『ダメだよ。そんなの……』




壱馬「ダメじゃないよA。
ダメじゃない」




海青「Aさん、たくさんのこと頑張りすぎたんやね。
せやったらさ、俺らと居る時は我慢せんでええやん」








Aはずっと泣いてる。



それだけたくさん積もってたんや。





たくさんの期待を、小さな背中に背負ってた。



それが重すぎて、押し潰されかけて……。





まだ完全な大人とも、完全な子供とも言えない俺らの歳で、
たくさんのものを背負い続けた彼女。






俺はそんなAの背中をゆっくりと撫でた。







壱馬「頑張ってくれてありがとなA」







俺には、無理すんなとか、そんなの言えへん。



でも、Aが頑張ったんは知ってるから。

*▽→←*▽



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作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時

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