*不調 ページ33
・
もうダメだった。
何がきっかけが分かんないけど、
ホテルの部屋に戻った瞬間、何もかもがダメになった。
頑張れる気もしなくて、
涙はずっと止まらないし、
立ち上がる気力も、
ベッドに向かう気力でさえも、
ムカムカして、吐き気もして、でも吐けなくて、
ずっとずっと、苦しい。
どうしようも無くて、
でも仕事は休めなくて。
誰に言えばいいかも分かんなくて、
私はこのまま朝を迎えた。
ずっと、部屋の入口から動けなかった。
・
気づいて欲しい、
気づいて欲しくない。
助けて欲しい、
放っておいて欲しい。
ずっと相反する気持ちが、
胸を行き来してて、何かをするにも億劫で。
いざ配信ってなった時も、
陣「Aは連休あったらどうしたい?」
『えーっと……っ連休あったら、んー……』
北人「そんな考えるの?
いつもなら「引きこもります!」って即答するじゃん」
『んーそうねぇ。
引きこもって、ゆっくり過ごしますかね』
健太「いつも通り」
言葉に詰まってしまったりとか、
電気がまぶしかったり、人の多さにムカムカしたり、
ソワソワして落ち着けなくて……。
みんなが楽しそうな中、
私はただ笑顔でいることしかできなかった。
とにかく笑え、
これが座右の銘。
とにかく笑っとけば、きっと、
楽しくないことも楽しくなるし、
笑っていればきっと、
・
・
・
そうやって誤魔化し続けて、毎日を過ごす。
最近じゃあ、部屋までたどり着くのにも、
部屋から玄関にたどり着くのにも時間がかかる。
どんなに苦しくても、辛くても、時間は止まらない。
時間は止まってくれない。
時間が過ぎれば治ってくれる、
そう思ってたけど、
全然治ってくれなくて、
もうどれだけこの不調を抱えてるかなんて、
思い出せなくなった。
・
365人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時