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次に目を覚ましたのはホテルだった。
明らかに撮影じゃないはずなのに、
三脚にカメラは設置されている。
『グラビア、とはだいぶかけ離れてません?』
「おぉ起きたのか、おはよう」
『一体、何のおつもりですか。
これ、立派な誘拐ですよね』
「いいや?
撮影だよ、ちょっと大人なビデオのね」
『っ、だから話が違うんだって。
そもそもただの静止画が何が動画に変わって』
「うるさいなぁ。
記念すべき最初の人間になるんだから、
相応しい振る舞いをしなきゃねぇ」
『何言って……』
抵抗を続けようとすると、盛大に打たれた。
けど、そんなことよりも問題は、
両手両足を縛られてしまった現状をどうするか。
幸いして服はまだ来てるけど、
でも……。
「君は頭を回していると厄介なことしかしないからな。
これでも飲んで大人しくしてくれ」
『っ、何をっ』
「我社が生み出した気持ち良くなる薬だ。
徐々に徐々に、体が火照って気が抜けていく」
顔を掴まれたと思ったら、口に何か液体と錠剤を突っ込まれて。
吐き出そうと思ったら、口と鼻を覆われて、
お腹を殴られた衝撃で飲み込んでしまった。
『ゲホッゲホッ』
「どんなに鍛えてても、所詮は女の体。
やはり柔らかいねぇ」
『っ……』
薬を飲んだ瞬間、体が熱くなったけれど、
でも、同時に倦怠感もあって。
心臓がバクバク言うのと同時に、冷や汗が流れる感覚が伝った。
『ちょっ、はなしてっ。
やだ、いやだ!!』
「うるさいっ!」
頬を叩かれて、馬乗りにされた。
触れられるのも何もかもが嫌で抵抗してると、
今度は首に手を当てられて。
今までよりも命の危機を感じた。
『やだ……はなして……』
「最初から受け入れてればこうならなかったんだ。
僕はね、君みたいに賢くて強い女を見ると、壊したくなるんだよ!
絶望も何も知らない君には、想像できないだろう?」
『っ、ぁっ……グッ』
「ははっ、綺麗な顔がどんどん歪んでいく。
安心してくれ、そのまま、体も壊してあげるから。
けど、生活に苦労はしないよ」
もうダメだ。
そう思った私は体の力を抜いて、
窒息でなのか、薬でなのか、両方なのか分からないけど、
ゆっくりと意識を手放した。
「「A!!」」
「離しやがれクソジジイ!!!」
微かにみんなの声が聞こえた。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時