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まるでドラマみたいな展開かもしれないけど、
これはれっきとしたリアルの話だ。
男は椅子にふんぞり返って、
隣に立っている秘書の体に触れながら話し出す。
「そうだなぁ、君が可愛がってる武知くん。
スポーツも万能だし、素晴らしいけど、ちょっと金を積めば潰せる。
あぁ浦川くんもDJでクラブに出入りしてるね。
簡単にスキャンダルを流そうと思えば流し放題だ。
それから、長谷川くん。彼のお父さんは自営業。
とっても素晴らしいねぇ、簡単に潰せそうだ」
次々とメンバーの名前が上がってきた。
少し話してただけで分かる。
『脅しじゃなさそうですね』
「ほら、私の目に狂いは無い!
君はとても賢い子だ!」
『……個人でもあなた方の企業を調べさせてもらいましたけど、
多岐に渡る業界を手玉にとってるようですね』
「おや、私が見込んだ通りだ。
そうだよ、味方に付けられるものは全て味方に付ける。
欲しいものは全て手に入れる。
それが君だ」
『…………』
「もしもこの仕事を受けるのなら、一生の生活を保証しよう。
たとえこの先、何があったとしても」
『分かりました』
ここまで来たら引き受けるしかない。
きっと最初から受けてたとしても、
歓迎会やら何やらでこうなるのは目に見えてる。
だから断り続けてたけれど、
どの道グループを出しにされたらやるしかない。
でも、ただでやられるほど、私もバカじゃない。
私の体ひとつでグループを守れて、
向こうの会社を潰せるんなら、万々歳ってもんだよ。
・
いざ仕事の日。
迎えに来たのは、ウチのマネージャーじゃなくて
完全に初めましてのスタッフさん、しかも男性。
スタ「今日はよろしくお願いします」
『……マネージャーが迎え来るはずですが?』
スタ「少々予定の変更がございましたので、
代理で私が来ました」
人見知り云々の話じゃない。
完全にはめられてる。
『話が違いますが、
こちらが申し出た条件として、マネージャーが……』
スタ「あまりにも賢いと、後悔するよAちゃん」
『っ』
スタ「おやすみ」
トランクにも人が乗ってたのか、
そこから何かの薬を嗅がされて意識を手放してしまった。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時