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ドア越しで話して、ゆっくり会ってみると、
Aはずっと泣いてた。
壱馬「ごめんな、助けてやれなくて」
『あやまらないで』
Aは泣きながら首を横に振り続けて、
こんなにも弱ってるAに慣れない。
いつも、誰かと言い合って、常に強くあろうとする彼女だから。
陣「怪我の調子は?」
『まだいたみあるけど、いたみどめでなんとか。
もうすこしして、きずがよくなったら、らくになるから』
陣「そうか」
怪我の具合は良くなってるようで、
安心したんやけど……。
でも、それ以上に心の方が傷ついてるのは明白で。
壱馬「これ以上はAの負担やから、俺ら帰る。
けど絶対、誰かしらまた明日も来るから」
『……やくそくだよ?』
海青「おん。
俺らじゃないにしても、ドアから話すよう言うとくから」
『またきてね……』
陣「絶対来るから」
力矢「焦らない程度にね。
俺らずっと待ってるから」
『はい』
俺らは病室を出て、自販機とかがあるホールに集まった。
もう外来の時間も終えてるから、人はそう集まってなくて。
力矢さんが俺ら全員にドリンクを買ってくれて、
それをゆっくり飲んでると海青が話し出した。
海青「Aさん、だいぶ酷かったっすね」
壱馬「問題はこれからやな。
今の段階であれやと、マジで継続的に会わせんと、
俺らですら受け付けなくなるで」
陣「そうなん?」
海青「病室入って、Aさんと目合いました?」
力・陣「!」
壱馬と海青は、あのほんの一瞬だけでAの状態を見た。
会話ができたから全てが良かったわけじゃない。
そう思い知らされた。
海青「俺らも怖いけど、知らん人よりマシ。
知らん人とか、一人で居るくらいなら俺らと居った方がええ」
壱馬「力矢さん、これスパン開けてしまったら、
今度こそAは俺らですら受け付けなくなりますよ」
俺らが思ってるよりも、
Aの状態は良くなかった。
Aの理解者である二人が、それを雄弁に語っていた。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時