*背後/リク ページ18
・
最近Aが後ろを気にするようになった。
リハ中に誰かが背後に立つと、
すぐ後ろを振り返って確認して、
メンバーだとホッとしたように胸を撫で下ろすし、
スタッフだったりすると、
すぐメンバーの近くに移動してくる。
海青「Aさん?」
『やっぱりちぇいの横って安心するね。
頼もしいわ〜』
とか、それらしい事言って
海青の横に居ることが多くなったりした。
海青じゃないにしても、陸さんとか陣さんとか力矢さんとか。
あと龍とか、体格あるメンバーの横とかに。
それから、メンバーが帰ろうとすると、
Aが引き止めるようにもなったし。
『帰るの?』
樹「そりゃ、仕事終わったんで」
『ダメだよ、帰っちゃダメ。
ひとりにしないでよ』
樹「えぇ……」
『お願いお願い、マジでお願い。
あとでマースのご飯買ってあげるから!』
樹「良いですよ」
健太「手のひら返し早(笑)」
絶対に誰かしら横につけるようになったし、
本当に一人の時間を作ることが無くなった。
最近帰る時も、海青曰く、
A送って海青送るっていう流れもあるらしく。
壱馬「なんかあるんかな」
海青「Aさん自身言葉にしてくんないっすけど、
ここまでの条件が揃ったら……」
壱馬「やんなぁ」
俺と海青はゲームでオンライン通話しながら
最近のAの動向を考えてた。
俺も海青も今は配信しとらんから、
容赦無く素性の話ができるわけで。
海青「マネさんにも確認してみたけど、
やっぱり最近背後気配すること増えたって言ってた」
壱馬「んー……」
海青「建物とかあると、常にそれに凭れるようになったって。
その方が視界とかも確認しやすいし、Aさんがやりそうだけど」
壱馬「そもそも俺と喧嘩する回数減ってる時点で
あいつになにかあんのは100パーやねん」
海青「Aさん、また何も言ってくんないんだから」
壱馬「あいつはそういう奴やろ。
自分の中でも確信持てるまで、何も言わない。
相談しようとしても結局は、黙り込んじまうんや」
海青「何もないとええけど」
それが俺らの一番の願い。
何も無いのを願っても、
奇跡は起こってくれない。
365人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時