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力矢さんと陣さんに連れられて、
Aがスタジオに来たのはあれから二週間後だった。
Aが来た瞬間、海青がAに抱きついて。
海青「おかえり」
『ただいま、
って言ってもまだ活動再開は無理だけどね』
一番体格のある海青と、一番華奢なAだから、
絵面的には結構シュールで…(笑)
Aは体調不良で活動休止することがあの会議の翌日に流され、
SNSでは割と「やっぱりかぁ」「体調悪そうだもん」と、
納得の声の方が多くて、批判的な声は少なかった。
実際Aのスケジュールを見てると、
休みと言える日がなくて、半日かと思えば急遽一日とか。
何かと長いこと頑張ってたのを実感した。
そんな環境で頑張ってたのを世間は認めてて、
事務所の先輩後輩、色んな方向からよく連絡が来る。
後輩とは人見知りで関わりが薄いけれど、
何かと心配はされてて。
先輩なんかもセカンドさんを初め、三代目さんやGENEさん、
あっちこっちから連絡が届いてた。
Aは治療してはいても、気分の浮き沈みは激しくて、
時折泣きじゃくったかと思えば、イライラして髪を抜いたり、
かと思えば楽しそうに笑ってたりしてた。
たまに死を切望することもあったけれど、
その度に近くに居たメンバーが慰めたり、話聞いたりして、
何とかAが行動に出ないように見張ったり……。
『はぁー、辛……』
北人「辛いね……」
『なんでこうなるかなぁ』
北人「Aが頑張ってた証拠だよ」
『ランペ守るって決めてたのに』
北人「もうたくさん、十分守ってもらったよA」
『そっかぁ』
北人「うん、そう」
Aは泣きながら俺の肩に凭れてて。
辛そうにしてるけど、まだ受け答えができる日。
酷い時はできない時もある。
それは、こうやって一緒に過ごすようになって
話すようになって気づいたことだ。
北人「焦んないでゆっくりね」
『うん』
俺はAの手を握りながら、
俺らの願いが届くようにと囁いた。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2024年3月19日 15時