149話 「親友」 ページ49
業は絞め技をキメられながらも、あと一歩で渚を殺せそうなところまで行った時に、自ら降参した。
業「聞けってえ！」
烏間「そこまで！！！！」
渚は業の言葉では止まらなかったが、烏間の言葉で止まった。
よっぽど熱くなっていたのだろう。
烏間「赤チームの降伏により」
寺坂「おい待てよ烏間先生！まだ赤チームにはあと一人残ってんだろ」
烏間が止めようとした時、Aが降りてきたのを見た寺坂は笑った。
渚も業の横に倒れ込みながら二人を見下ろすAを見上げる。
業「ごめんね、A。勝手に降伏して」
A「……」
Aは喋らないで首を横に振った。
渚はそれを見上げながら警戒する。
渚(今彼女とやっても100パー僕が負ける。
これをやる前でも、カルマくんとは違った条件だからこそ僕は負ける)
Aは渚の前にしゃがみこんで、三枚のトランプを用意した。
渚「ん？」
茅野「トランプ……？」
A「……お願い、カルマの十八番でやったんならさ、これでやって欲しい。
たった一枚をたった一回のチャンスで、渚さんがペアを揃えるだけ。
そしたら、私の負けでいいから」
業「A……？」
業が接近戦で決めた。今度はAが博打で決めることを選んだ。
Aの気配が少し違うことを感じた業は、乱れた呼吸を整えながら二人を見守る。
殺せんせー「五十山田さん得意の賭け。50パーセントの確率で、この勝負が決まると同時にきっと、彼女の何かが解けるのでしょうね」
イリーナ「何かって……」
殺せんせー「それを一番わかってやれるのは、イリーナ先生。あなたですよ」
渚はできればもう動かしたくない腕を踏ん張ってAの手札を一枚選んだ。
それは数字で、渚がペアを決めた。
A「……そっか」
Aは渚の懐から青いペイントのナイフを拾って自分に押付けた。
これより完全に勝負が決まった。
烏間「結果！！
青チーム、殺さない派の勝ちとする！！」
Aは震える手を殺して立ち上がった。
A「みんな、覚悟はちゃんと決まってたんだね」
渚「……うん」
Aは渚の返事を聞くと、二人から離れて仲直りするその瞬間を見届けた。
今まで他人行儀だった二人は、これからは「渚」と呼び、「カルマ」と呼び合う仲で、公認の親友となった。
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2022年12月3日 11時
