104話 「潮田渚(1)」 ページ4
Aは面談が終わると、渚の机の付近に業と茅野が集まってた。
その時だった。
業「別にすぐ決めなくても、Aなんて欲張りセットって喚かれるくらい悩んでんだから大丈夫だよ」
茅野「欲張りセット？」
業「医師、司法書士、弁護士、教員って来た。
この内危険物取扱関係のものも取り出すかもね」
A「なんですぐ巻き込むかな」
Aは仕方無く業につっこんだ。
ふと茅野がイリーナの襟元にサイズシールが貼りっぱなしなのに気がついた。
茅野「あ、イリーナ先生、サイズシール付けっぱだ」
業「安物慣れしてないね〜」
茅野「そっと言ってあげる？」
渚「僕が取るよ」
渚は平然と言った。
業と茅野が渚を見守る中、渚はイリーナと波長を合わせる。
その様子を離れたところから見ていたAは渚を見つめる。
そして、波長が合ったその瞬間に、渚はイリーナの襟元からシールをそっと取った。
業「っ！」
茅野「っ！」
A「……」
見ていたのは三人だけだった。
業はAに目を向けると、彼女も業を見ていた。
A(彼には、人を殺す才能がある。
今のを日常でされたら、気付かぬ内に首を切られる)
Aは拳を握った。
だが、これから行われるであろう殺せんせーとの面談で、きっと先生がどうにかしてくれる。
──────────
翌日、渚が登校した時、表情が暗かった。
何やら転級の件で三者面談になるらしい。烏間不在の時に。
杉野「渚の母ちゃんか……、キツイ人だよなぁ」
渚「殺せんせーは任せとけって言うんだけど……」
イリーナ「担任役、私がやろっか？」
渚「え」
お気楽にイリーナは言うがそれではダメだ。
速水「ダメよ。ウチらの名目上の担任は烏間先生。親同士で話が合わなくなっちゃう」
A「それに、あんたのセクハラじみた教育じゃ、渚さんのお母さんはキレるでしょ」
イリーナ「五十山田は後で覚えておきなさい。
でも、そっかぁ……」
そんな時、教室の外から変な足音が聞こえてきた。
殺せんせー「ふふふふ、むしろ簡単さ。私が烏間惟臣になりすませば良いだけのこと」
渚「殺せんせー？」
殺せんせー「おう、ワイや！ワイが烏間や！！」
「「再現度ひっく！！」」
眉間の落書き、ソーセージみたいな腕、なぜか関西弁。
生徒にそれぞれつっこまれていて、それを見ていたAはため息を吐いて、
A「アホくさ」
呆れを隠さずに教室から出ていった。
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2022年12月3日 11時
