119話 「期末テスト(4)」 ページ19
冬にしては暖かい日。
そんな日に答案が返却される。
殺せんせー「さて皆さん、集大成の答案を返却します。
君たちの二本目の刃はターゲットに届いたでしょうか」
いつものように煽る殺せんせー。
誰もが緊張した様子で殺せんせーを見つめる。
殺せんせー「細かい点数を四の五の言うのはよしましょう。
今回の焦点は、総合順位で全員がトップ50を取れたかどうか」
全員の手元に全教科の答案用紙が返却された。
みんな真剣に自分の答案用紙を見る。
殺せんせー「本校舎でも今頃は総合順位が張り出されている頃でしょうし。
このE組でも順位を先に発表しましょう」
黒板に順位が書かれた紙が広げられる。
それを全員が立ち上がって教団の手前で見た。
寺坂「俺が、46位！？」
吉田「ウチでビリって寺坂だよな？」
原「その寺坂くんが46位？」
杉野「ってことは、」
「「ヤッターー！！！」」
全員が無事、50位以内に入ることができた。
業も渚と嬉しそうに笑っていて、Aも一番遠くから自分の順位を見て心底安堵していた。
杉野「そして1位は初のカルマと五十山田！！」
業「ふぅ」
A「……」
1位は赤羽業(500点)と五十山田A(500点)、同率だった。
殺せんせー「どうですか？カルマくん。
高レベルの戦場で狙って1位を取った気分は？」
業「んー、別にって感じ」
照れた様子の業を見たAは優しい表情で業を見守っていた。
きっと彼が背負っていたプレッシャーはA以上に重たかっただろうから。
そんなAと同様、渚と茅野も優しく微笑んでいた。
殺せんせー「五十山田さんは？」
A「……私も興味無いかな」
殺せんせー「そこはもっとコメントを！興味無い以外で！！」
話すのが苦手なAはみんなからの視線を集めて求められたコメントに戸惑ったが、少し目を泳がせて話し出す。
A「……私も、別にって感じかな……」
殺せんせー「完璧を誇った浅野くんとの勝敗は、数学の最終問題で分かれましたね」
業「あれね……」
業は気を緩めた表情を浮かべて、順位発表の前ではしゃいでいる生徒たちを見つめながら答える。
業「なんかよくわかんないけど、みんなと一年過ごしてなきゃ取れなかった気がする」
A「……そうね」
業「そんな問題だった」
Aはうん、と頷いて業の横に並んで生徒たちを見る。
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2022年12月3日 11時
