116話 「期末テスト(1)」 ページ16
殺せんせー「さぁて、この一年の集大成です。次はいよいよ学の決戦です」
空が曇っている中、E組生徒たちは教壇に立つ殺せんせーを見ていた。
殺せんせー「トップを取る心構えはありますか？カルマくん、五十山田さん」
間もなく、期末テストだ。
業「さぁーねー、バカだから難しいことわかんないや」
A「……興味無い」
((五十山田は相変わらずだ！))
再び殺せんせーを見ると、何やら額に「50」と書いている。
恐らくあれだろう。
殺せんせー「先生は一学期の中間の時、クラス全員50位以内という目標を課しましたね。あの時のことを謝ります。
先生が成果を焦りすぎましたし、敵の強かさも計算外でした。ですが今は違う。
君たちは頭脳も精神も成長した。どんな策略やトラブルにも負けず、目標を達成できるはずです。
堂々と全員50位以内に入り、堂々と本校舎復帰の資格を獲得した上で、堂々とE組として卒業しましょう」
杉野「そう上手くいくかなぁ……」
杉野はボソッと不安を口にする。
何やらA組の担任が変わったらしい。
A「あぁ、理事長らしいね。
全教科担当するって、浅野くんから連絡入ってた」
「「えぇ！！」」
殺せんせー「そうですか、とうとう……」
これは生徒対生徒というより、先生対先生だなと、Aは感じた。
Aはため息を吐いて三村の言葉に耳を傾ける。
三村「正直、あの人の洗脳教育は受けたくねぇよ。
異様なカリスマ性と人を操る言葉と眼力」
杉野「授業の腕も、マッハ20の殺せんせーとタメ張るし」
殺せんせー「ひぃいぃ！！！！」
磯貝「あの人の授業を受けたら多分もう、逆らえる気がしない」
各々感想を述べる中で、業はAを見た。
彼女は興味無さげに窓越しの曇り空を見ていた。
業「で、理事長と話す機会が多かったであろうAはどうなの？」
A「あの人は、バケモンだよ。
たった一言二言で、その人の闇の部分の扉を簡単に開く」
「「……」」
A「実際私もそうだった」
Aは視線を変えることなく話し出した。
A「この教室に来た時、正直あの人に洗脳されてた部分は否めないと思う。
弟を見殺しにした自分が何より憎い。だから言われたもん。
もしも憎いなら殺してしまえばいい、って」
前原「うぇ、おっかねぇ……」
A「中学生って、小学生や高校生よりも影響を受けやすい多感期で、その内にあの人からの洗脳を受けてご覧よ」
A「マジで一瞬で頭飛ぶよ」
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2022年12月3日 11時
